マイケル(Michael Jackson)の死を1年間引きずっていた。年末にはお蔵入りした楽曲を集めた『Michael』がリリースされ、本人が歌ってるかどうか問題なども発生。リリースそのものも賛否両論分かれた。
USでは、これといって新しいビートやカルチャーが発生したわけでもなかった。「bmr」誌(389号:2011.1)の林剛さんによると、2010年は、
回帰の年。振り返ったのが60年~00年代と幅広かった。
とのこと。そういった向きで、年末に発表されたケルズ氏(R.Kelly)の『Love Letter』には賛辞が集中した。そこで、2008年のラファエル・サディーク(Raphael Saadiq)『The Way I See It』を思い出した。93年にトニーズ(Tony Toni Toné)が『Sons Of Soul』を発表。3年後に生まれるニュー・クラシック・ソウル・ブームの呼び水となったわけだが、またしてもラファエルから始まるトレンドとなるのだろうか。
その回帰という中で、最も嬉しかったのはエリック・ベネイ(Eric Benét)の完全復活。前作でももちろん充分なかたちでの帰還だったわけだが、「Sometimes I Cry」でみせたファルセットに悶絶。70年代を振り返った96年のあの雰囲気を、さらに振り返ったという趣向であり、個人的には今後へ繋がるであろう“90年代への回帰”を期待してやまない。
UKでは、ケイ・B(Kay-B)などの“トキメキ”“キラキラ”といったキーワードをもった若手が、スティーヴィー・ホワン(Stevie Hoang)やジェイ・ショーン(Jay Sean)などに続けとばかりに作品をドロップ。個人的にはなんだかポップすぎて物足りなく思えてしまった。タイオ・クルーズ(Taio Cruz)などはR&Bと呼べるとは思えないのだが…。唯一の救いは、シャーデー(Sade)が新作を出してくれたこと。“Changing Same”の素晴らしさを改めて感じた。
(2010.12.21)
-2010年にリリースされた作品-
『Lost In Time』
/ ERIC BENET
『Another Round』
/ JAHEIM
『Love Letter』
/ R.KELLY
『Epic』
/ R.KELLY
『Now Or Never』
/ TANK
『Covered』
/ BOYZ Ⅱ MEN
『Hustla 4 Life』
/ L.V.
『Everything I Do』
/ CHRIS JASPER
/ DARNELL KENDRICKS
『Blueprint 2 Love』
/ DEEP3
/ ZO!
『Sanity』
/ D'MAESTRO
『Color Blind』
/ JEFF HENDRICK
/ KEITH SWEAT