2010年末の男性シンガーたちのリリース・ラッシュ、R.ケリー(R.Kelly)『Love Letter』、エリック・ベネイ(Eric Benet)『Lost In Love』、チャーリー・ウィルソン(Charlie Wilson)『Just Charlie』などは、個人的にここ数年で一番トキめいた。このヒップホップ、ポップスよりになってきたR&B界も、まだまだ回帰することができるんだと勇気付けられた。ジョニー・ギル(Johnny Gill)、エル・デバージ(El DeBarge)の復活も心を躍らせてくれた。
この感想が個人的のものだけではなく、世間から渇望されていたと思ったのはグラミー2012。これらに収録されている楽曲がすべてノミネートされた。移り変わりの早い音楽業界の中で、1年間かけて多くの人が聴いたのだと思うと、本当に良いものは使い捨てられたないのだと再認識した。
チャート的にはアデル(Adele)が2,200万枚という信じられないヒットを飛ばし、それにリアーナ(Rihanna)、レディ・ガガ(Lady Gaga)が追随。まさかの死去でエイミー・ワインハウス(Amy Winehouse)の作品も売上をあげた。男性ではクリス・ブラウン(Chiris Brown)くらいが目立つところか。女高男低の図式となった。いずれもソウルを感じられるものが少なくなってしまったことが残念だった。
ブラック界のおしどり夫婦、アシュフォード&シンプソン(Ashford & Simpson)のニコラス・アシュフォード(Nickolas Ashford)が8/23に他界した同年に、その座を引き継ぐかと思われていたシャンテ・ムーア&ケニー・ラティモア(Chante Moore&Kenny Lattimore)が離婚...。しかし、キンドレッド・ザ・ファミリー・ソウル(Kindred The Family Soul)が良作を発表。オシドリ夫婦ポジションは、これからは彼らが担っていくことになりそうだ。
日本では未曾有の大災害、東日本大震災が発生。国内では原発問題もあり、暗い影が落ちた1年。これに対してブラックミュージック界からも多額のチャリティーが寄せられた。改めて“音楽”の持つ力に感謝!音を楽しめることの幸せを今後も感じたいと思った年だった。
(2012.08.05)
-2011年にリリースされた作品-
『Kelly』
/ KELLY PRICE
『Chapter Ⅴ: Underrated』
/ SYLEENA JOHNSON
/ KEITH SWEAT
/ MINT CONDITION