1975年ニューヨーク生まれ。父はジャズ・ミュージシャン、母は元女優という家系に生まれる。しかも名前は、サックス奏者のラサーン・ローランド・カーク(Rahsaan Roland Kirk)から由来している。そういった影響だろう、9歳でテレビの子役として、ショウ・ビズ界に入る。ちなみにこのドラマの撮影は、カリフォルニアで撮影があったため、家族で引越し。家族でそこまでやるところがスゴイ。
その後、家族はNYに帰ったが、ラサーン(Rahsaan Patterson)はLAに残り音楽活動。盟友レス・ピアース(Les Pierce)、ジェイミー・ジャズ(Jamey Jaz)らとテープを作成していた。その活動を続けるうちに、ブランディ(Brandy)のデビュー作に「Baby」を提供し、バックシンガーも勤めたキース・クロウチ(Keith Crouch)と邂逅を果たす。なお、同曲は95年2月に、R&Bチャートを4週連続でNo.1(ポップ・チャートでも4位を記録)を獲得した。
ラサーン自身は、テヴィン・キャンベル(Tevin Campbell)に「Back To The World」などを提供し着実に実力を高めていたころ、レス・ピアース、ジェイミー・ジャズはラサーンのデモ・テープをレコード会社に売り込んでいた。実力も名前も徐々に浸透し、ついにMCAと契約することになる。
デビュー時はエリック・べネイ(Eric Benet)、マックスウェル(Maxwell)らの“ニュー・クラシック・ソウル”ブームとも相成って、順調に滑り出す。甘いヴォーカルで、ベイビーフェイス(Babyface)やトニーズ(Tony Toni Toné)のラファエル(Raphael Saadiq)の声が好きな人にはたまらない作品を作り続けている。
2008年にはクリスマス・アルバム『The Ultimate Gift』をリリース。カヴァーやスタンダードばかりになりがちなクリスマス作品だが、ここではオリジナル中心に。キース・クロウチと再びタッグを組み、ファンを喜ばせた。
音楽とは別な話なのだが、ついにゲイであることをカミング・アウト。ゲイに対する偏見などの撲滅を目指す活動も行っているようだ。とはいっても本人は大きく意識しているわけではなく、至ってマイペースのようである。こういった周りにとらわれない考え方、生き方は心から尊敬できる。
(2005.11.11/2011.05.15)