昨年話題となったはロビン・シック(Robin Thicke)の「Blurred Lines」。ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)がプロデュースしたこの曲は、全米1位を獲得し、12週連続でその座に居座った時は、ようやくこのブルー・アイド・ソウルマンが表舞台に登場したという印象だった。しかし、この2014年では、違う形で世界に知られることになってしまう。なんとマーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)のヒット「Got to Give it Up」の盗作であると訴えられてしまい、敗訴。730万ドル(約9億円)の支払いを命じられている。筆者も似ている気はするが、盗作とまでは言えないと思うが…。久しぶりにノーナ・ゲイ(Nona Gaye)がこのような形で現れることがなんだか残念な気がした。
そこで充分話題になったファレルだが、自身でも大ヒットとなった「Happy」を発表している。こちらも全米チャート10週連続No.1ヒット。日本のテレビでも何度も聴くことができるほど(そんなの久しぶりだと思う)記憶に残るメロディーだった。春から夏にかけてはファレル一色であったと言い切ってしまってもいいかもしれない。
一方、昨年から続く90’sへの回帰する動きも継続。特に後半に集中して新作のリリースが続いた。8月:フル・フォース(Full Force)、9月:アンジェロ・レモン(Angelo Remo’n from Renaizzance)、10月:デイヴ・ホリスター(Dave Hollister)、ジャギド・エッジ(Jagged Edge)、ボーイズⅡメン(Boyz Ⅱ Men)、12月:ジョニー・ギル(Johnny Gill)、チャズ(Chazz Mac)…。そして極め付けが年末にリリースされたディアンジェロ(D’Angelo)の14年ぶりの復活作である。彼らの復活はおそらく来年以降も続いていくと予想(希望含む)され、最近のシーンにいまいちのりきれていなかった筆者も、どう変化し行くのか、楽しみで仕方がない。
また、音楽のフォーマットもCDから配信、そしてハイレゾ化と、いよいよ日本でも配信が定着していくようなインフラが整備されつつある。ブライアン・マックナイト(Brian McKnight)は、年間12ドル程度の会費を払えば、月に1曲新曲をダウンロードできるしくみで作品をリリースすると発表。また、ビルボード誌もツイッター(Twitter)で話題になった数まで集計したリアルタイム・チャートを新設するなど、曲単位で聴くことがますます加速されそうである。2015年のグラミー賞でプリンス(Prince)が言ったひとこと、
「皆さん、アルバムって覚えていますか。アルバムはまだ大事だ。」
これを聴いて、ますます作品単位で聴くことの大切さを考えさせられた。
(2015.05.08)
-2014年にリリースされた作品-
『Game Changer』
/ JOHNNY GILL
『J E Heartbreak Too』
/ JAGGED EDGE
『Black Messiah』
/ D’Angelo
『Home For The Holidays』
/ ANTHONY HAMILTON
『Seventy3』
/ D'MAESTRO