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-2016-

◆これほどまでに続くとは…

昨年のシーンを鑑みると、非常に期待が膨らんだ年になると予想した。「これから、またR&Bシーンは復活するはず!」と、個人的には息巻いていた。しかし、元旦に飛び込んできたニュースは、ナタリーコール(Natalie Cole)の死。なんとも暗い年明けとなってしまった。
 それにしても訃報が続いた。最大のトピックは何といっても4月のプリンス(Prince)だろう。マイケル(Michael Jackson)の時同様、様々な形でひきづった。また、2月にはモーリス・ホワイト(Maurice White)が、6月はP.M.ドーン(P.M.Dawn)プリンス・ビー(Prince Be)が、11月にはレオン・ラッセル(Leon Russell)が他界。ベテランたちが多く旅立ってしまう中で個人的に最もショックだったのは、10月のカシーフ(Kashif)の死去だった。良い楽曲を提供する人は必ずシーンに戻り、若手を育てるだろうと勝手ながら期待していただけに、非常に残念でならない。59歳。早すぎる才能の他界に、少しだけこのR&Bの居心地の悪い音楽シーンを恨んだ。

結局2016年も、R&Bシーンはポップスとの蜜月関係。そしてEDMを使用した音作りが目立ったものとなった。ジャスティン・ティンバーレイク(Justin Timberlake)リアーナ(Rihanna)ウィークエンド(The Weekend)アリアナ・グランデ(Ariana Grande)などなど。ビジュアルも歌の世界に必要になったのか、という面々である。

ヒップホップ勢は、グラミー5冠のケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)や、ドレイク(Drake)らが名を挙げた。ドレイクがどれだけ売れたかの指標は、父親であるデニス・グレアム(Dennis Graham)が“R&Bの”アルバムを出せるほど売れた、ということなのではないだろうか。

そんな中、(筆者的に)うれしいニュースももちろんあった。マックスウェル(Maxwell)が、ようやく『blackSUMMER'Snight』を届けてくれた。最初に三部作構想が発表されてから年月が経過し、正直なところ筆者は「お蔵入りになるのでは…」とかなりマイナス思考で待っていた。それだけにうれしい誤算を心から喜んだ。
 そして、シルク(Silk)リル・G(Gary “Lil G” Jenkins)を含んでの復活、アフター7(After7)の21年ぶりのアルバム、アズ・イエット(Az Yet)の20年ぶりの作品など、カムバック組に恵まれ、またアンソニー・ハミルトン(Anthony Hamilton)ジャヒーム(Jaheim)といった深い味わいのアーティストの作品も届いた。そしてキース・スウェット(Keith Sweat)はキャリア最高峰とも言える『Dress To Impress』を発表。これは2017年も引き続き期待しろ!ということなのだろうと思っている。

チャート的にはアデル(Adele)ビヨンセ(Beyoncé)。しかし、一番売れたアーティストはプリンスだった(年間223万枚の売り上げを達成)という。まだまだ、ソウルは死んではいないと思う。
 以前のグラミーでのプリンスの言葉、「みなさん、『アルバム』ってご存知ですか?」という問いかけを思い出した。リアーナの作品『Anti』は14時間で100万ダウンロードを数えたらしく、ダウンロード時代を痛感させられるわけだが、個人的にはアルバム単位で、可能な限りフィジカルで聴きつづけていきたいと頑固に思っている。

(2017.03.03)

-2016年の主な出来事- 
  1. 01月:ゲス不倫騒動
  2. 01月:軽井沢にてスキーバス転落事故発生
  3. 02月:元プロ野球選手、清原容疑者覚醒剤
       所持の疑いで逮捕
  4. 03月:北海道新幹線が開業
  5. 04月:熊本地震 M7.3 震度7を観測
  6. 05月:伊勢志摩サミット
  7. 06月:舛添東京都知事が辞任
  8. 07月:ポケモンGO日本発売
  9. 07月:小池百合子東京都知事誕生
  10. 08月:リオデジャネイロ五輪
  11. 08月:築地市場の豊洲移転延期を発表
  12. 09月:「こち亀」40年の歴史に幕
  13. 10月:マイナンバー配布開始
  14. 10月:東京工業大学の大隅良典栄誉教授に
       ノーベル医学生理学賞
  15. 11月:博多駅前道路陥没事故
  16. 11月:米大統領選挙でトランプ氏が勝利
  17. 12月:もんじゅ廃炉が決定
音楽
SMAPが解散(12月末)
   ピコ太郎「PPAP」
映画
『君の名は。』『シン・ゴジラ』
ドラマ
『逃げるは恥だが役に立つ』
流行語
「神ってる(鈴木誠也〈広島東洋カープ〉)」
「ゲス不倫」「保育園落ちた日本死ね」
訃報
オーティス・クレイ(1/8)  デヴィッド・ボウイ(1/10) グレン・フライ(1/18) 
モーリス・ホワイト(2/3)  松原正樹(2/10) 
ジョージ・マーティン(3/8)  プリンス(4/21)
冨田勲(5/5)  蜷川幸雄(5/12)  森岡賢(6/3)
モハメド・アリ(6/3)  鳩山邦夫(6/21)
永六輔(7/7)  大橋巨泉(7/12) 中村紘子(7/26)
九重親方[元横綱千代の富士](7/31)
加藤紘一(9/9)  平幹次郎(10/22)
カシーフ(10/25) レオン・ラッセル(11/13)
フィデル・カストロ(11/25)  朝本浩文(11/30)
黒沢健一(12/5) ジョージ・マイケル(12/25)
根津甚八(12/29)

-2016年にリリースされた作品-

after7-timeless

『Timeless』

/ AFTER7

silk-quiet_storm

『Quiet Storm』

/ SILK

eric_benet-eric_benet

『Eric Benét』

/ ERIC BENÉT

g-incarna_g-incarna

『G-Incarna』

/ G-INCARNA

gordon_chambers-surrender.

『Surrender』

/ GORDON CHAMBERS

jaheim-struggle_love

『Struggle Love』

/ JAHEIM

joe-mynameisjoethomas

『#mynameisjoethomas』

/ JOE

maxwell-black_SUMMERS_night_2016

『blackSUMMER'snight』

/ MAXWELL

『What I'm Feelin'』

/ ANTHONY HAMILTON

swv-still

『Still』

/ SWV

『24K Magic』

/ BRUNO MARS

zo skybreak

『SkyBreak』

/ ZO!

『Dress To Impress』

/ KEITH SWEAT

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