1950年メリーランド州ボルティモア(Baltimore,MD)生まれ。本名:ユージーン・ライス(Eugene Rice)。10代のころからファミリー・グループ、ライセス(The Rices)で活動していた。聖歌隊でも目立ってしまうほどの歌い回しは、どうしてもソロで歌うことになることが多かったという。
本格的に音楽活動をスタートさせるのはカルフォルニアに移住してから。思い切って東海岸の地元から西海岸へ、環境の変化を求めたところにジーンの本気度がうかがえる。
LAでは様々なショーケースで歌っていたそうだが、そこでバイ・オール・ミーンズ(By All Means)の仕掛け人であるスタン・シェパード(Stan Sheppard)に発掘される。
「スタンは僕の作ったデモ・テープをとても気に入ってくれた。それから2週間語には一緒にスタジオ入りしていたよ。そうして出来上がった音素材をスタンはRCAレコードのブラック・ミュージック部門担当者であるスキップ・ミラー副社長に聴かせた。そこで運よく気に入られたというわけさ」(1st『Just For You』ライナーノートより)
当時の音楽シーンには良くある話なのかもしれないが、急に生まれたチャンスをきちんと掴めるのは、実力を持ち合わせてるからであろう。
91年に1st『Just For You』をリリース。ニュージャック真っ只中に聴かせるヴォーカル・アルバムをドロップする[*1]。翌年にはセルフ・タイトルの2ndをリリース。リヴァート(Levert)・ファミリーが関わり、ニュージャックにも接近した作品になっている。
しかし、その後は名前も聞くことが無くなり、すっかり過去の人となっていたのだが、2016年に3rd『G3』をリリース。ニュー・エディション(New Edition)でおなじみ「Mr.Telephone Man」を、色気たっぷりに歌い上げている。
(2021.12.17)
[*1]当時、スタン・シェパードはバイ・オール・ミーンズの他にも、ジェラルド・アルストン(Gerald Alston)のソロ作をプロデュースし、メインストリームとは一線を画した、しかし正統派な音作りを展開していた。