1978年9月11日、デトロイト近郊のミシガン州サウスフィールド(Southfield)生まれ。本名:ロレンゾ・ファーガソン(Lorenzo Ferguson)。鍵盤奏者であり、音楽プロデューサーである。
モータウン・サウンドを愛する母と、ファンク好きの父親からの影響は大きく、6歳からピアノレッスンを始めたという。14歳から音楽活動を始めたそうだが、当時はそれよりも野球に打ち込んでいた。地元デトロイトの聖マーティン・デ・ポレス高校を卒業するころにはプロも意識していた。
1996年のMLBドラフトでは、トロント・ブルージェイズ(Toronto Blue Jays)から13位で指名[*1](全体369位)を受けている。ここでは契約せず、運動奨学金を利用して西ケンタッキー大学へ進学している。大学で野球諦めているようだが、そのころから音楽へ没頭するようになった。
デトロイトで音楽活動を開始して、まず作り上げた作品は『Ablyss』というヴォーカル・レスのグルーヴ。ドラフト指名からわずか5年でのこの身のこなしは凄い才能なのだろうと驚いてしまう。その後も“Zo!Presents”名義で4枚を立て続けにリリース。そしてこの名義での最後の作品となる『Passion & Definition』の発表となるのだが、ここでようやくジャケット付きのフィジカル盤のリリースとなった。
徐々に名が知れ渡るようになってきた2006年にメリーランド州へ移住。このころから、リトル・ブラザー(Little Brother)のフォンテ(Phonte Coleman)らとも交流が始まったようだ。
フォンテとの絆は深く、2008年には80年代の作品への愛を表現した『Love The 80's』をZO! & Tigallo名義でリリース。ZO!名義の作品でもレギュラーとなった。
また、フォンテも所属するフォーリン・エクスチェンジ(The Foreign Exchange)にも尽力。2009年にリリースされた『Leave It All Behind』では、それまでヒップホップ色濃厚だった彼らをR&B畑に引き寄せるほどの影響を与え、グラミーにノーミネイト[*2]させた。2010年には彼らのレーベル(The Foreign Exchange Music)から『SunStorm』をリリース。現在まで続くZO!の流儀である、インディも含めた実力派のヴォーカリストらが詰め込まれた[*3]作品になっている。
ここからは順調に3年ごとにソロアルバムをリリース。当然フォーリン・エクスチェンジの作品にも関わりつつ、レーベルのアーティストの作品にも多く関与している。
(2021.01.10)
[*1]元ソフトバンク・ホークスの川崎選手も在籍したことのある名門ブルー・ジェイズ。外野手として指名を受けている。ZO!よりも下位で指名されている選手がMLBで活躍しているというので、その実力は本物だったのではないだろうか。
[*2]2009年、第52回グラミー賞、Best Urban/Alternative Performanceで「Daykeeper」がノーミネイトされた。
[*3]◇サイ・スミス(Sy Smith):ワシントンD.C.在住のディーヴァ。ブラン・ニュー・ヘヴィーズ(Brand New Heavies)との仕事でも有名。
◇リトル・ブラザー(Little Brother):ビッグプー(Big Pooh)とフォンテ(Phonte)のラップ・デュオ。
◇ヤーザラー(YahZarah):エリカ・バドゥ(Erykah Badu)のコーラスを務め、後にソロデビューした実力者。
◇エリック・ロバ―ソン(Eric Roberson):ハワード大学在学中にメジャー・デビューするも、裏方として働き、その後インディR&B界をけん引する存在にまでなったアーティスト。など他にも多数。ZO!人脈恐るべし!