1969年8月5日生まれ。ロサンゼルス出身。本名:バイロン“ブルー”ミッチェル(Byron “Blu” Mitchell)。
地元で音楽活動をスタートさせ、1988年にはデトロイト出身ながらL.A.を拠点にプロデューサーとして活躍してきたマイケル・ストークス(Michael Stokes)[*1]との仕事を得ることができ、少しずつキャリアを積んでいく。1989年には“トレヴァース(Trevous)”というトリオを結成し、いくつかのレコード会社と契約の話もあったようである。しかしグループとしての活動はどうやらそれまでのようで、次にクレジットを確認できるのは、1990年のキッパー・ジョーンズ(Kipper Jones)のアルバム『Ordinary Story』収録の「Watch Over Me」。コーラスで参加している。
そんな下積みを経て、表舞台に登場したのは1995年。トニーズ(Tony Toni Toné)の課外授業3部作のひとつとして、ドゥエイン・ウィギンス(D’wayne Wiggins)がプロデュースしたアルバム『Out Of The Blu』を、文字通り“突然”リリースする。
しかし、ドウェインとのコンビもこの1作のみとなり、そのまま表舞台からは消えていた。しかし、裏方としての活躍は続き、1997年には、競馬の祭典:ケンタッキー・ダービーで国家斉唱を行ったり、コーラスとしてはウィル・ダウニング(Will Downing)、フィル・ペリー(Phil Perry)ら、クワイエットよりなアーティストの作品などに参加していた。さらに、 マイケル・ボルトン(Michael Bolton)、ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック(New Kids On The Block)やスティーヴ・ペリー(Steve Perry)らの作品にも参加。ジャンルを超えて歌っていたようだ。
そして驚くことに、役者にも挑戦し、多数の作品に出演している。デビュー作となったのは、2007年のコメディである「Love In The Nick Of Tyme」。かわいらしい声で出演しているのが意外であった。また、2011年には、ブラウンストーン(Brownstone)のニッキ(Nichole Gilbert)が監督となった、ミュージカル「Soul Kittens Cabaret」にフェイス・エヴァンス(Faith Evans)、ファンテイジア(Fantasia Monique Barrino)らとともに出演している。
音楽が基本ではありつつも、アルバムを作り上げていなかったわけだが、2018年に、23年ぶりとなる2ndをリリース。1stよりもわかりやすいソウルを届けてくれている。
2019年、2020年ともに配信シングルをリリースし、まだまだこれから音楽のキャリアを積んでいこうとしていた矢先、2021年4月11日に他界。51歳という若さだった。
(2021.11.29)
[*1]デトロイト出身のプロデューサー。70~80年代に活躍した。奥方のリンダ・ストークス(Linda Stokes)がヴォーカルのマジックレディ(Magic Lady)が有名なところであるが、当サイト的にはシェリック(Sherrick)の「Just Call」のプロデューサーというほうがしっくりくる。