中心人物であるゲイリー・プール(Gary“wolf”Paul=のちに本名のPooleに改名)は、1965年、ロンドンのカナリーワーフ(Canary Wharf)生まれ。幼少からピアノの教育を受けており、音楽の道を志す。1993年にシングル「He Wont Love You」をリリースしたり、またD-インフルエンス(D-Influence)のコーラスとして世界ツアーに参加したりと、UKのシーンでは名の知れた存在となった。
そんな彼がチャールズ・テメヌ(Charles“Foggie”Temenu)、アレックス・ブラウン(Alex“Smooth”Brown)の2人と結成したのがトロイ(Troi)である。3人は地元ジュース・レコード(Juce Records)[1]と契約。1995年にシングル「Don't Say No」でデビュー。のちにアルバムにも収められた人気の楽曲「Need Your Love」もリリースした。
96年に1st『The Album』をリリース。90年代初頭にUKで活躍したユニット、アーバン・スピーチ(Urban Speech)のケヴィン・オズボーン(Kevin Osborne)が全ての楽曲に関わったクラブよりのソウル・アルバムとなった。
その後、アレックスが脱退したものの、2nd『Give You Everything』を制作。リリースがドイツからとなったのは、時流のせいだろう。そのせいだろうか、トロイとしての活動はここで終わっている模様。
しかし、ゲイリーは活動を継続。2011年にはソウル・トーク(Soul Talk)というグループでアルバムをリリース。発売元もエクスパンション(Expansion)、中身もボーカル寄りになっており、さらなる活躍を期待したが、結局この1枚を残しただけとなってしまったようだ。
2014年にはテレビのオーディション番組「The Voice UK」のブラインド・オーディションに出場。「Valerie」を歌い、イギリスのカントリー歌手、トム・ジョーンズ(Tom Jones)からボタンを押してもらう。勝ち上がりはここまで[2]だったが、その後に歌った「Freedom! '90' 」も会場は大いに盛り上がった。
(2020.01.08)
[1]詳細不明だが、ジャマイカ航空の協賛だった。
[2]このオーディションは、審査員4人(UK2014の場合)がアーティストに背を向けて、声だけで評価するもの。その人をコーチしたいと思った審査員は、ボタンを押し、指導を行い、次の戦いに備える。それを繰り返しチャンピオンを決めていく。審査員は一定の数しかボタンを押せないシステムになっているため、順番も大切になる。ゲイリーの2回戦は最後のほうの順番で、すでに審査員4人が他の人にボタンを押してしまった後だったため、ルール上誰も評価できない状態だった。