「Ain't No Stoppin' Us Now」は、言わずと知れたR&Bの歴史に刻まれたフィリー・ソウルの名曲。そのヒットがあまりにも有名すぎるマクファデン & ホワイトヘッド(McFadden & Whitehead)。最近ではその楽曲が入ったアルバム『McFadden & Whitehead』のジャケットを、スクープ・オン・サムバディ(Skoop On Somebody)のTAKEと、ゴスペラーズの村上てつやで結成された”武田とてつや“の作品でパロディ(愛がアルゆえの、いわば憧れなのだろうが)にされていたりと、ここ日本でも有名な作品である。
そのホワイトヘッドには息子たちがいた。ジョニー(John W Jr.)とケニ―(Kenny)の兄弟で組んだユニットが、その名の通りホワイトヘッド・ブラザーズ(Whitehead Brothers)である。
父が多数功績をのこしたフィラデルフィア・インターナショナル・レコード(Philadelphia International Records)からリリースした1st『Kenny & Johnny』は、完全なるフィリー産。ギャンブル&ハフ(Gamble & Huff)がプロデュースしている。
その後、アーティストとして作品を残すことはかなわなかったが、父の七光りとは言わせないとばかりに裏方として着実に力をつける。その努力が実を結び、モータウン(Motown)より2ndをリリース。ラリー・ゴールド(Larry Gold)を後見人としたこの作品からのシングル「Your Love Is A 187」がR&Bチャート15位を記録する。
ようやく表舞台での活躍が見え始めた。すぐさま彼らは3rdアルバムの制作を開始。しかし、当時のモータウンはアンドレ・ハレル(Andre Harrell)の社長交代劇の渦中にあった。そのため、結局はお蔵入りとなってしまったようだ。この騒動の結果、グループでの活動が届けられることはなくなってしまった。
作曲などの実力を早くから見せていた弟ラリーは、2000ワッツ(2000Watts)のメンバーとして活躍。シルク(Silk)の『Love Session』などを手掛けたりと、ディライト(Darrell “Delite” Allamby)周辺と活動。リンク(Link)『Sex Down』[1998]、ネクスト(Next)『Welcome 2 Nextasy』[2000]、メン・アット・ラージ(Men At Large)『Back On Top』[2007]、シルク(Silk)『Quiet Storm』[2016]と、長い年月の間でその名前を確認することができる。現在も本人名義のインスタグラム上で活動が報告されている。
(2017.03.12)