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VESTA WILLIAMS

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Biography

1957年12月、オハイオ州の州都、コロンバスから8キロほどに位置するコショクトン(Coshocton)という町で生まれた。父親がDJだったこともあり、8歳の頃ロスに移住。二人の妹とウィリアムス・シスターズ(The Williams Sisters)を結成し、ロスではテレビにも出演していたようだ。

14歳で一度オハイオに戻り、祖母の家で生活をしていたようだが、やはり歌への志は高かった。すでにこの世界で活躍していた従兄、ロン・タウンゼンド(Ron Townsend)フィフス・ディメンション(5th Dimention)を頼って、20歳の頃に再びロスへ戻ってくる。

ダイエット・コーラやホンダのCMで歌うことからキャリアを始め、バック・コーラスを務める。アニタ・ベイカー(Anita Baker)の名作『Rapture』や、ジャーメイン・ジャクソン(Jermaine Jackson)ステファニー・ミルズ(Stephanie Mills)など多数の作品でその喉を存分に披露。その経験を買われて、1980年代初頭に、シャカ・カーン(Chaka Khan)のコーラス隊に参加。あまりに声や歌い廻しが似ていたため、“シャカのレコーディングは、ヴェスタが歌っているのでは!?”という噂まで飛び交ったようだ。

ソロ・デビューのきっかけとなったのはジョー・サンプル(Joe Sample)を通してのデヴィッド・クロフォード(David Crawford)との出会い。A&Mレコードと、アーティスト契約に至る。こうして1st『Vesta』がリリースされたのは1986年。ゲイリー・テイラー(Gary Taylor)らが参加した。

2nd『Vesta 4 U』からのシングルだった「Sweet Sweet Love」はR&Bチャート4位まで駆け上がるヒット。ここでもシャカ・カーンの歌と間違われていたようだ。アルバムもゴールド・ディスクを獲得。1991年の3rd『Special』もR&B2位を記録。まさに順調そのものであった。

この状況を受け、2年後に4th『Everythiing-N-More』をリリース。しかし、ブライアン・マクナイト(Brian McKnight)マーク・ゴードン(Mark Gordon)チャッキー・ブッカー(Chuckii booker)ら、当時のシーンを象徴するようなメンバーが参加してにも関わらず、セールス的には失敗に終わってしまう。このことがきっかけとなり、A&Mとは契約を解消することになってしまう。

ここまでが彼女の第1章といえるのではないだろうか。どちらかというとシャカのような、歌い倒すパワーR&Bシンガーのイメージである。

レコーディング契約はなくとも、その実力でミュージシャンから多数の声がかかっていた。これが彼女の第2章となる。ジェラルド・アルブライト(Gerald Albright)ジョージ・デューク(George Duke)といった、ソウル界とジャズ・フュージョン界を自由に浮遊するアーティストたちへのゲスト・ヴォーカルで評価を獲得していく。

1997年にはフォー・プレイ(Fourplay)のツアーに同行。そのつながりで、リー・リトナー(Lee Ritnour)がイニシアティブと取ることになっていたポリグラムのレーベルと契約。1998年にジャズ・フュージョン寄りの『Relationship』を発表する。初のコンセプト・アルバムとなったこの作品をヴェスタ自身は気に入っていたようだが、R&Bチャートは55位止まり。彼女のキャリアを考えると物足りないものであった。リー・リトナーがポリグラムと関係が悪くなると同時に、ヴェスタも契約も失った。

また裏方稼業へ。今度はノーマン・ブラウン(Norman Brown)がギターでカヴァーしたSWVの『Rain』のリミックスに参加。ヴェスタの歌声が入ったことで一気に話題の楽曲になった。また2005年にはカフェ・ソウル・オールスターズ(Cafe Soul All-Stars)のアルバム『Love Pages』に参加。ピーボ・ブライソン(Peabo Bryson)ジョージ・ベンソン(George Benson)グレン・ジョーンズ(Glenn Jones)といった“らしい”メンバーとの作品にも参加した。

久しぶりにディールを獲得したのは2007年。シャナキー(Shanachie)からカヴァー集『Distant Lover』をリリースした。また、2011年にエドウィン・ニコラス(Edwin Nicholas)がプロデュースしたアルバム『Seven』を作成し、シングル「Dedicated」を先行配信。デジタル時代にマイペースで良質な音楽を届けてくれる存在になるのかと期待されていた。

しかし、その作品のリリース前に悲劇は起こる。2011年9月22日、新居を探していたため滞在していたロスの空港近郊のホテルにて、遺体が発見される。心肥大による合併症のため永眠だった。肥満に悩んでおり、45kgのダイエットを敢行していたため、それが心臓に負担をかけていたのではないかと言われている。発見当初は薬物の接種によるものか?という報道もあっただけに、そういう意味ではほっとしたのだが…。他界のちょうど1か月後の10月22日にはイヴェントで、前年に他界したティーナ・マリー(Teena Marie)のトリビュートをやることになっていただけに、無念だっただろう。ちなみにそのイヴェントは、急遽ヴェスタの追悼も行ったそうである。

ヴェスタの死に際して、親友と言われていたシャニース(Shanice Wilson)は、

「今、みんながヴェスタのことを話しているけど、生きていたころはこんな風にサポートしなかったじゃない!」

と語ったという。チャートやディールについて苦労してきたヴェスタの心境を代わりに吐露したのではないだろうか。

(2015.07.12)

Discography

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『Vesta』

(1986)

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『Vesta 4 U』

(1988)

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『Special』

(1990)

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『Relationships』

(1998)

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『Distant Lover』

(2007)

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『Seven』

(2013)

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