デトロイトを拠点とし活躍するアーティスト。もともとはカルフォルニア州サクラメント出身で、同州オークランドでも暮らしていたようだ。母親はシンガー、伯父・兄弟はサックス、ピアノと音楽一家に育ったダーネルだが、音楽に対する情熱を持ちながらも、それを生業にしようと考えてはいなかった。
サクラメントのグラント・ユニオン高校(Grant Union High School)卒業後、ようやく音楽への執着心が芽生え、彼の音楽的アイドルと言うトゥウィンキー・クラーク(Twinkie Clark)の出身地であるデトロイトへ移住。ゴスペル・アーティスト、ダニエル・ヤング(Daniel Young)のバック・ヴォーカルなどで活動していた。
ソロとしてのデビューは2005年。デトロイトのプロデューサーであるダリン・シンプソン(Darrin Simpson)との作業で1st『Strawberry Lemonade』を制作。これが地元からじわじわと広がりを見せ、UKでも話題になった。ここ日本でそのフィジカル盤が届けられたのは2006年9月。当時、Webサイトも運営していた“BlackMusicFan Net”Recordsからのリリースであった。自主製作盤に3曲のボーナストラックがプラスされていた。
この1stのアルバム・タイトルをプロジェクト名とし、地元デトロイトでライブ活動を行う。その後、新たに立ち上げたのが“Smooth Soul Cafe”プロジェクト。2010年、お披露目的な意味合いで2nd『Smooth Soul Cafe』をリリースした。
その後も、1st時と同様にデトロイトでライブ活動を実施。現在もプロジェクト名を変えずに、場末の酒場でも歌っているようである。その模様をfacebookで確認することができる。
2ndリリース時のインタビューにはテクノロジーの進化について、“様々な有能なアーティストが表現することができるインターネットやMP3の技術には賛成している”というような、ネット社会を賞賛しているような回答も。確かに、あれだけ自撮りの多いfacebookだもんなぁ。楽曲の雰囲気とは全く違うところが面白い。
また、そのインタビューの中には、好きなアルバムとして、往年のクラーク・シスターズ(Clark Sisters)のようなゴスペル・アーティストから、ドナルド・フェイゲン(Donald Fagan)『Nightfly』というAOR、バーシア(Basia)『The Sweetest Illusion』などのポップな作品を挙げている。このあたりの自由さが、彼の活動を物語っているのかもしれない。
個人的にはそういったポップ路線が好きと言ってしまうところに不安を感じた。しかし、好きな楽曲にはこんな2曲を選んでくれていた。
◆ジョー(Joe)「I Can't Get Over You」(Maze featuring Frankie Beverly Tribute)
◆ミント・コンディション(Mint Condition)「Nothing Left To Say」
これを知った時に、ダーネルの音楽性についてさらに興味を深めるとともに、安心感を得た。
(2016.10.11)