これほど日本で有名なヴォーカル・グループというのは、意外と珍しいかもしれない。認知度としては、ニュー・エディションよりも上かもしれない。ソウル、R&Bに興味がなくても知っているヒトが多いのではないだろうか。
ネイザン・モリス(Nathan“Bartholomew”Morris:71年生)、マイケル・マッケイ(Michael“Bass”McCary:72年生)、ショーン・ストックマン(Shawn“Slim”Stockman:72年生)、ウォンヤ・モリス(Wanya“Squirt”Morris:73年生)の4人がフィラデルフィアで88年に結成。当初は歌うことが楽しくてやっていたが、次第にプロを目指し始める。
そんな折、たまたまニュー・エディション(New Edition)のライヴのバックステージで、マイケル・ビブンス(Michael Bivins)の前でアカペラを披露することになる。憧れのNEメンバーの前で歌ったのは、「Can You Stand The Rain」。そう、NEのナンバーだ。これを期に、“ビヴ・エンターテインメント”＝モータウン(Motown)と契約する。
デビューはニュージャックの波も落ち着き始めた91年。「Motownphilly」は全米ベスト3に3週にわたってランクインした。そして1stアルバムをリリース。その後、映画「ブーメラン」のサウンドトラックに収録され、シングルカットされた「End Of The Road」は、プレスリーの持っていた11週連続ビルボードNo.1の記録を塗り替え、13週連続No.1という大記録を打ち立てる。
クリスマスアルバムを挟み94年2ndを発表。ダラス・オースティン(Dallas Austin)、ラフェイス(LaFACE:Antonio “L.A.”Reid & Kenneth“Babyface”Edmonds)、ジャム＆ルイス(Jimmy Jam & Terry Lewis)など大物プロデューサーに囲まれたこの作品からも「I'll Make Love To You」が大ヒット。名前も実力もモータウンを支えるグループにまで成長した。
97年に3rd発表。この時期のモータウンは本社もLAからNYへ移したり、社長が変わったりとひと波あった時期。アーティストの環境まで考える余裕はなく、売れるものを作ることしか考えていなかった。その結果、彼らはモータウンを離れることになる。
00年、ユニヴァーサル(Universal)に移り、4th発表。自分達の冠名を配したタイトルと、自らのプロデュースという自信作だったのだが、セールス的には不振。
02年、LAリードがCEOをつとめるアリスタへ移籍。再びベイビーフェイス(Babyface)らを招集し、5thを制作した。
その後、カヴァー集や日本向け企画盤などでお茶を濁しているとしかいえないような気がしているのだが…。セールス的には不振でも実力はある彼らだけに、オリジナルの新譜を望みたい…。ちなみにこの間に、マイケルが健康上の理由(脊髄側弯症)で脱退。3人組として活動を続ける。
2011年にはデビュー20周年としてアルバム『Twenty』を発表。久しぶりの新曲を届けてくれたわけだが、内容は当然20周年を振り返るもの。もう、過去の遺産で勝負していくグループになったのかと、やはり寂しく感じていた……。
ジャパンツアーなどで来日を果たしていたものの、もう現役感は…。そう思っていた2014年。ようやくオリジナルアルバムが届けられるというニュースが！是非、このヴォーカル・グループ不遇の時代に、再度ブームを巻き起こすほどの熱い作品を期待してならない。
(2006.04.02/2014.10.12)
