1. 『What I'm Feelin'』
  2. ANTHONY HAMILTON
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  4. privatesoulmusic
『What I'm Feelin'』(2016)2016
director

Review

-サザンソウルについて-

正直に告白すると、サザン・ソウルは積極的に聴いてきていない。もちろん好きである。しかし、他のメインストリームR&Bと言われるものと比較すると、絶対的に量が少ないといえる。アル・グリーン(Al Green)ボビー・ウーマック(Bobby Womack)ももちろん聴いてきている訳だが、ウェイトは軽かった。個人的にそんな背景を持ちながらも、アンソニー・ハミルトンに対しては、『Comin' From Where I'm From』が出たときに衝撃を受けたことを思い出す。ソウルを感じた、とでもいおうか。以来、彼の作品をことあるごとに聴いていた。

-マーク・バトソンとのタッグ-

今回は久しぶりにマーク・バトソン(Mark Batson)が全面プロデュースに復帰している。そんなこともあり、アンソニーもリラックスしているような印象がある。
 作品は、ファンク色・スライ色濃厚な①「Save Me」から始まる。ギターの音色がその荒削りな雰囲気をさらにかき立て、そこにアンソニーの太い声がのることでアーシーな感覚が倍増するのだが、意外にメロディアスで入り込める。
 続く②「Ain’t No Shame」もギターが印象的なブルース。完全にサザンソウルの世界観である。

-いつもの安心と意外な1曲-

かわいらしいコーラスワークが印象的な③「What I’m Feelin’ 」は、アンソニーのコーラス隊、ハミルト-ンズ(The Hamiltones)を前面に押し出したスロウ。ピアノと語り、ファルセット気味のコーラスが相まって温かさを届けてくれる。

温かさといえば、もろアンソニーなサザン・バラードの⑦「Grateful」⑧「Walk in My Shoes」⑫「Love Is an Angry Thing」あたりでも感じられる。このあたりはもう安心・安定のアンソニー印である。ここに口出しは無用である。

対照的に今までのアンソニーには無いようなリオン・ウェア(Leon Ware)的スロウ⑤「I Want You」[*1]は、けだるいホーンのような音色のリフが印象的。この雰囲気は新しい気がした。

-アーティスト優先主義-

シングルになった④「Amen」サラーム・レミ(Salaam Remi)ジェームス・ポイザー(James Poyser)のプロデュース。彼らは初期からアンソニーの作品に参加しているわけだが、相変わらずこの組み合わせがしっくりはまるのが謎である。ジェームスが限りなくヒップホップ要素を出さずに、アーティストに寄り添っているんだろうといつも勝手に想像してしまう。
 ふたりはこのほか⑨「Take You Home」もプロデュース。三連系にクラップを混ぜ込むという複雑なリズムでも、しっかりとアンソニーへの味付けになっているところに驚かされる。

-個人的な印象では-

本作品のレビューを見てみると「渋くなった」「さらにサザンソウルを極めた」というものを見かけるが、個人的には他の作品よりも入り込みやすいような気がしている。これが長く聴いてきた“慣れ”なのかどうかはわからないが、一番すっと入り込めた気がしている。

(2021.03.13)

[*1]タイトルからして確信犯なのか、とも思っている。あくまでアンソニーがリオンに寄せたらという程度ではある。

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