-ツボ-
ちょっとナヨ声。やさしいメロディー・ライン。他の人とは一味ちがうナニカ…。ベイビーフェイス(Babyface)、ラファエル・サディーク(Raphael Saadiq)にも共通するこのスタイル。個人的にはかなりのツボである。
-時流だけではなく-
1997年初頭。ニュー・クラッシク・ソウルという流れがあり、デビューには追い風ではあった。だが、流行でリリースされたわけではない。その軌跡はバイオを参照していただきたいが、実力のみでデビューを勝ち取った。
-アコースティック・ギターに魅せられて-
その力作。ジャズ、ゴスペルなど様々な要素が含まれている。そのエレメントの中で印象に残るのは、アコースティック・ギターの使い方である。③「Where You Are」は明るめにポップ色をひき出し、⑨「My Sweetheart」ではイントロでのシンプルさをより引き立て、サビへの盛り上がりを引き立てる。また、ゴスペルに対する敬意をTAKE6参加の⑧「Joy」で表現。聖職者の両親への感謝の意味を表現したかったのではないだろうか。
-系譜-
聴きどころは⑦「Can't We Wait A Minute」の、ストリングスが絡む静かな出だし~エンディングへの盛り上がりのドラマ性、⑬「Ain't No Way」~⑭「Soul Free」の、ミディアム・ソウルの動と静。このあたりを聴くと、2004年ころから盛り上がりをみせるネオ・ソウルへとつながっていくことが明確に理解できる。
-気の合う仲間たちと-
制作はラサーン本人のほか、LAの仲間たち、ジェイミー・ジャズ(Jamey Jaz)、キース・クロウチ(Keith Crouch)にレス・ピアース(Les Pierce)が協力したような、いわば身内での制作のような形。とはいえ、上記の3人がそろい踏みしてるわけだから、外れるはずもない。またこの全員がそろった作品を聴いてみたいものである。全員出世して忙しいから、そうもいかないのだろうが…。
(2005.11.21)