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『7』(2011)2011
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Review

-シャナキーへ移籍-

前作『E-Life』は、ミント・ファンの求める、甘いキャッチーな仕上がりで、R&Bチャートで8位を記録。ゲストにアンソニー・ハミルトン(Anthony Hamilton)アリ・シャヒード(Ali Shaheed Muhammad from A Tribe Called Quest)を迎えた、インディとは思えない豪華な作りであった。筆者的には、前々作『Livin' The Luxury Brown』の不満が吹き飛んだ快作だったわけだが、果たしてこの流れは本作へ続くのだろうか…。今回は名門シャナキー(Shanachie)へ移籍していることから、おおよそ大丈夫だろうと考えていた…。

-期待が高すぎるから-

正直に書くならば、この作品はそこまで入り込めなかった。全体的に漂う未来感というか浮遊感のなかに、ロック寄りの味付けが多かったり、スロウの⑨「Unsung」にしても、良い曲なんだけど、多少白すぎるような…。ただ、当然聴き込むと印象は良い方に変わっていったのは間違いないわけで、もっともっと聴き込むことで良い作品になることを楽しみにしたい。

-名曲誕生-

とはいえ、その中にも光る物は存在する。なんといっても⑩「Not My Daddy」は、別格といえるだろう。この曲はケリー・プライス(Kelly Price)のアルバム『Kelly』にも収録されており、どちらかというと本作よりもケリー・サイド主導でつくられている。楽曲は、ウォーリン・キャンベル(Warryn Campbell)が手がけているわけだが、これほどまでにミントにあった楽曲を仕上げてくるところは流石。本作中一番ミントらしいと言い切ってしまいたいくらいのハマり具合である。他のWebサイトなどで“ケリー・プライスのほうが目立ち、彼女の力量が上回っている”というような記事をみかけるが、決してそのようなことは無いと思う。むしろケリーはいつもより抑え気味だし、ストークリー(Stokley)のほうがリードしているように聞こえるのは筆者だけであろうか。いずれにしても、2人の才能がかみ合った名曲であることは間違いない。
 そのほかでは、先行シングルだった⑤「Caught My Eye」が心地よい。アコースティックな雰囲気のなかに、サビの最後で転調するあたりに惹かれてしまう。また、それに続くスティールパンをメインに据えた、ボサノヴァ・インストゥルメンタルのインタールード⑥「Bossalude」も面白い。

-アルバムを通して聴くことを楽しむ-

前出のとおり、聴いていくたびに良くなるのは、4th『Life's Aquarium』も同様であった。それくらいまで聴き込む必要があると再認識した。

(2022.03.21)

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