1. 『Playing For Keeps』
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『Playing For Keeps』(2018)2018
ridin_solo

Review

-名盤の次に当たる作品といえば…-

「相変わらずやってるぜ。」 そう言う意味を込めたタイトルなのか。
大作『Keith Sweat』の後の作品、タイトルは『Still In The Game』。似たような意味なのだろうか。あのときは、ちょっと話が違うような違和感があった。今回も名作『Dress To Impress』の次に当たる作品。正直、いやな予感[*1]はした。

-予感を覆す先行シングル-

先行シングルは、ケイシー・ヘイリー(K-Ci Hailey)とのデュエットである⑥「How Many Ways」。ルイジアナの雄、レ・ジット(Le Jit)ロイ・アンソニー(Roi “Chip” Anthony)がプロデュースした濃厚なスロウで、吠えるケイシーと粘着質のキースの声が効果的、かつ、守るポジションがしっかりと確立された”相変わらず“以上の名曲だった。

-ハードルを上げすぎたわけではない-

“これは、『Still In The Game』とは違うだろう。近作の動向を見る限り、大きな挑戦はなくとも、みんなが待っているキースの姿を見せてくれるに違いない!これは杞憂に終わるのだろう。”そう思って、アルバムに臨む。
 耳に飛び込んできたのは、アメリカの言葉遊びがタイトルの①「Eney Meeny Miny Moe」。言葉を失った。え!?テディ・ライリー(Teddy Riley)の楽曲って、この曲のこと!?大きくざわついた。同じく、レイ・フェイド(Ray Fade)をフィーチャリングし、エイコン(Akon)の参加も話題となった⑧「Fuego」と合わせて、膝から崩れ落ちる。正直、この2曲については、理解できない。“『Still In The Game』を“まだ”やってるじゃないか…。”

-当然の持ち直し-

しかし、それで終わらせないのがキース・スウェットである。やはり、『Still…』同様に、スロウ群は充実している。
 個人的にはこの楽曲からのスタートで良い②「Bae Bae」は、ニュージャックのチャカポコ音を遠慮気味にちりばめたミディアム、70年代フレイヴァのざらつき感がロイ・アンソニーらしい③「Cloud 9」、別れる彼女に今までの僕たちはなんだったのかと問いかけるひざまずき系三連スロウの⑤「Big Ass Lie」など、次々に求めていた“キースらしさ”を連発。キースらしいといえば、わかりやすいタイトルの⑪「Red Negligee」も用意。楽曲自体は思ったよりも固め音作りではあるものの、横揺れしたくなる。
 これらは、どれを選んでも間違いない、充分すぎるクオリティを宿している。

-大物たちは不振-

今回は、テディ・ライリーとタンク(Tank)が参加の⑨「Who's Your Daddy」、前出のなど、ゲストも豪華。しかし、それよりも目立ったのは、先行シングルはもちろんだが、キャンディス・プライス(Candace Price)を招き、アンビエントな顔を見せてくれた⑫「Boomerang」ではないだろうか。時流のアンビエントというところを意識したものだろうが、これは無理なく入り込んでいる。

-ロイの仕事は素晴らしかった-

多くのプロデュースを手がけたロイ・アンソニーの楽曲は、いつものキースに南部フレイヴァをブレンドし、きちんとシナジーを生み出した。以外、彼が手がけた楽曲は、2人がそろうことの意味を充分に味わえる。次回作は、是非ロイの全面プロデュースとしてもらえないだろうか。ヒップホップとの融合、そっち方面に大ききスウィングする必要はないと断言したい。

(2021.10.16)

[*1]予感は『Still In The Game』があったからこそ。あの時はジャケットもすごく違和感があったことを思い出す。今回は、ジャケットをみると安心できたものだった。

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