-第2期、ミキ始動-
前作までは完全にプリンス(Prince)を意識したつくりで、ともすればアクの強い楽曲などもあったミキ。しかし、本作からその方向が少し変化しており、その後のミキファンには馴染みやすい作風になっていることが明白な、転機となった作品である。なお、プロデュースはもちろん、自分自身である。
-アイズレーズをカヴァするということ-
その最たるものは、アイズレーズ(The Isley Brothers)のカヴァである②「Make Me Say It Again Girl」を取り上げたことであろう。オリジナルは、アイズレーズ75年発表の『The Heat Is On』のラストに配された、メロウでありながらも、ロナルド(Ronald Isley)が歌うことで艶が生まれた名曲である。アコースティックギターから始まるこの楽曲を、オリジナルに近いアレンジでじっくりと歌うところから、今までの“あまり歌えない??”イメージから脱却。この楽曲が名盤『Melodic Massage』につながることはいうまでもなく、現在まで続くミキのメロディアスながらも白くならないという、アイズレーズと同様のイメージを築いた、その定礎といえる1曲である。
-未来のミキの姿に近づくメロウな2曲-
これに続く③「Let's Get Down To Buisiness」④「Go To Your Head」が、②のイメージをそのままもってきたメロウな楽曲。“作曲はクリス・ジャスパー(Chris Jasper)か??”と疑ってしまいそうなほど、打ち込みの音色なども含めてオマージュしている③、よりベッドサイドに近づいた口説きモードの④など、歌をキチンと聴かせてくれている。この3曲はミキの歴史を辿るのに重要な位置づけであることは間違いない。
-後半はそれなり-
後半は、一気にはじけたポップな⑤「7 Days」、前作のイメージに近いライトファンクなスロウの⑥「Rebound」、ダンスチューンの⑦「Spend Some Time」と続く。いままでほど尖った印象はないのだが、前半ほどのインパクトは少ない。
-収録時間は短くとも-
総収録時間は28’38”。いわゆるEP扱いになるだろう。1曲ごとも短い曲が多くを占めている。もしも、リアルタイムで聴いていたならば、物足りないと思うのと同時に、これから始まるミキの展開に胸を焦がしたに違いない。
(2022.07.01)