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『The Rose Experience』(2009)2009
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Review

-いつになったら…-

「あの人は今!?」このような見出しで記事にされたこともあった。2004年に⑧「Shoulda Known Betta」をリリース、さらに2008年に②「Lovely」をリリース。いつになったらアルバムが出るの!?とヤキモキした方も多いのではないだろうか。事故~移籍といろいろとあり、ようやく自身のレーベル“indigo blue”からリリースとなった4th。でも中身は安心のケイス(Case)印だ。

-共作が秀逸-

オープニングはミディアムの①「Be That Man」。「お待たせ!元気だよ」と言わんばかりのファンクネスが宿る。すぐにケイス節炸裂のへ。これは待たせたファンに配慮した曲順に違いない。

そんな期待通りの楽曲が続くのだが、白眉なのは⑤「Let Me Down Easy」だろう。いろんなサイトでこの曲を押す声が多いようだが、筆者もまさしくこの曲が一番のお気に入り。90'sの雰囲気を持ち込んだ秀逸なスロウだ。この曲をケイスと共作したのがクリス・リッジォ(Chris Liggio)。アルバム中5曲でクレジットを確認できるが、彼がこのアルバム最大の功労者だろう。アイズレーマナーの⑨「Me And You」、インディ作だからやれそうなスロウ⑫「Can I Be」(ローム(Rome)を思い出してしまいません!?)など、本作の核となる部分は全て彼とケイスの共作だ。

-その他の参加陣-

その他のゲストも期待どおり。③「De Ja Vu」ティム&ボブ(Tim Kelly & Bob Robinson)とのコラボ。浮遊感が心地良く響く。ブリッジ部分の後ろにかすかに響くギターのリフに温故知新を感じるところだ。⑭「Place To Stay」デイヴ・ホリスター(Dave Hollister)のペンによるもの。彼がたまに書く、こういった悪びれてない曲っていうのはホント、心に染みる。ゲストで残念だったのはマリオ・ワイナンズ(Mario Winans)⑦「I Can't」は、彼の2ndの世界観のようだが、あの作品があまり好きではない筆者としてはチョイと…。1st『Story Of My Heart』のあの比類なき素晴らしさはどうしちゃったのか…。

-手に入る喜びと相反するもの-

インディだからできること。そんな印象を受けてしまったこの作品。こんなに染みる作品が、ちゃんと日本に届けられた現在のインディ事情に感謝すると同時に、メジャーの“聴かせるR&B離れ”を改めて残念に感じてならない。

(2010.07.11)

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