-知りませんでした-
「オークションで6桁を記録!」アヴェレージ・ガイズを検索すると、必ずといっていいほどこの文言が掲げられている。筆者もソウル・ディガー(Soul Digger By 石島春美さん)ではあるものの、ジェフ・レッド(Jeff Redd)の1stや、このグループ出身のJ.レッド(J.Red)のソロ作を知っていても、この作品の存在を知らなかったのは勉強不足であった。西崎さんのリイシューに伴って案内され、発売後すぐに入手したことを思い出す。
-豪華な参加メンバー-
お宝盤になったもう一つの理由として、ネプチューンズ(The Neptunes)のチャド・ヒューゴ(Chad Hugo)や、デビュー前のミッシー・エリオット(Missy "Misdemeanor" Elliott)の参加というトピックだという。しかし、筆者的に飛びつきたいのは、元トゥデイ(Today)のビッグ・バブ(Big Bub)の参加であった。クレジットはされていないが、チャドの楽曲のトラック・メイキングを担当しているそうだ[*1]。
一聴する前は、ネプチューンズを苦手としている筆者としては一歩引いていたが、この⑦「Ride」は浮遊感のあるミディアム・スロウであり、とても心地良い。ところどころにヒューゴらしい機械的な音を入れているのだがこれも効果的であり、リラックスできる。
ちなみにミッシーが参加しているのは⑪「So Good」。このアルバムには95年という発売年の割に古風なニュージャックが収録されているのだがそのうちの1曲。③「Get Inside」⑧「You Got It」も同様の路線。ニュージャックが復権した今聞けば充分に楽しめるのだが、当時は時流ではなかったのかもしれない。
-やはりスロウがハイライト-
アカペラの①「Anthem」から始めるところに歌への自信を見せてくれている。②「Gimme (Intro Big Freeze) 」は女性のセクシー・ヴォイスをちりばめた粘着質の高いスロウ。これに重ねてコーラスをまとわせるという甘美な楽曲に惹きつけられる。
そのほかにも、雨のSEから始まる⑤「So Far Away」や、低音の語りから入りニュージャック期のスロウな音作りの⑩「It Won't Be The Same」⑬「The Little Thing」、アコースティック・ギターが切なさを醸し出す⑫「I Never Knew」などのスロウが、ベタな展開ではあるものの、だからこそ安定した良質の楽曲が詰め込まれている。これらは、ビッグ・バブの1stと同様、タイムレスな作品であることは間違いない。
-良曲ではあるが-
インタールードの⑨「Interlude For Always」を配したことから作品の骨と考えていたのではないかと想像する⑮「Always」は、白いベクトルを感じるバラード。ファミリー・スタンド(The Family Stand)の「It Should've Been Me(That Loved You)」を思い出してしまった。アルバムの並びとしては、個人的には無くても良かったのではと思っている。
(2021.02.28)
[1]ライナーノートに記述あり。リイシューにあたって西崎さんが聞いているのだが、これがなかったらビッグ・バブがどの曲を担当したのかわからないままであった。