1. 『The Art Of A Woman』
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『The Art Of A Woman』(2001)2001

Review

-「Twisted」の爆発力は半端なく-

キース・スウェット(Keith Sweat)の「Twsted」の共作者。その言葉だけで、仮にカット・クロース(Kut Klose)を知らなかったとしても、彼女のソロアルバムに期待してしまうのは必然だろう。それが結局お蔵入りになってしまったというのは、実にもったいない話である。

-つながり-

グループで唯一残した『Surrender』はミディアム中心の作風であったが、本作はアップとスロウがバランスよく配置されている。が、しかし。結局惹かれるのはミディアム~スロウである。アシーナの切ない歌い方がしっくりとはまる。

その中でも③「Until You Come Back To Me」⑦「Take It Out On Me」⑨「He Changed His Mind」の音作りが秀逸。どれも一歩間違えばAORのようなきれいな収まりになってしまいそうなところを“黒寄り”に持ってくる微妙な手法が、アシーナの声を纏って強化される。アプローチは異なるが、アイズレー・ブラザーズ(The Isley Brothers)による白人の楽曲を黒く染める[1]カヴァーのような、なぜかそれを思い出させてくれる。特に⑦⑨の2曲はアンジェラ・ウィンブッシュ(Angela Winbush)の面影を感じさてくれる。「そういえばアシーナ自身もアイズレーズのコーラスを担当していたんだよなぁ」と、(勝手に)点と点がつながった気がしてならない。

-声を堪能する-

そのほか、スロウの⑩「You」は音数の少ないアコースティックなバラード。また、きれいな仕上がりの⑫「Dream Lover」は、その名の通りドリーミーな、天国に出も行ってしまうようなふんわりとした楽曲。このあたりはアシーナの声を深く楽しめる。改めて思うのが、アシーナの声は本当にきれいだということ。そして丁寧に歌っているということ。当たり前のことなのだろうが、これができる人が本物の“歌い手”なのではないだろうか。

-時代を意識したものなのか-

アップはシングル化された②「Hey Hey」以外にもあるのだが、デスチャ(Destiny's Child)のような⑪「All Or Nothing」も。(当時の)時代の要請だったのかもしれないのだが、決して悪くない。ただ、⑧「Make You Wanna」はいらなかったかなぁ。間奏のラップが…。

(2019.12.17)

[1]この技ができるのはロナウド(Ronald Isley)だけだということは充分承知。“ウェルウェル”の魔術は誰にもできません。

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