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『Surrender』(1995)1995
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Review

-ありがちなパターン-

デビュー作にして最終作品…。90年代の前半には、このようなコーラス・グループはいくつあったのだろう。・・・ん、ここまでの文章はドラマ(Drama)と一緒じゃん!でも彼女達も今のところ、それにフィットしてしまう。(現在も活動中ではあるので多少異なるが…。)

-プレッシャー-

ドラマはジェラルド・レヴァート(Gerald Levert)のプロデュースだったわけだが、こちらはキース・スウェット(Keith Sweat)の秘蔵っ子。しかも、あのシルク(Silk)の名作『Freak Me』のあとの作品となったわけだから、プレッシャーは大きかっただろう。しかし、そのプレッシャーを感じさせないリラックスした内容となった。

-ミディアム中心-

中心はミディアム・スロウ。中でも話題は、キース師匠との1:3のデュエット、③「Get Up On It」。これは彼の濃厚な世界に、彼女たちを招き入れた状態。まるで、ネットリ系のキースの歌声をアシーナ(Athena Cage)が少しづつ溶かしているような濃密な世界観である。それと対照的なのは⑦「I Like」SWV!?と言いたくなるような爽やかなポップ・スロウだ。この雰囲気が意外にもしっくりとはまる。ちなみにこの曲はR&Bチャート8位までに上昇した。

-ミディアム中心-

ところで、彼女たちのイメージはどのようなものをお持ちだろうか?個人的にはどことなく“憂い”が…そんな風に感じている。アシーナの声がなんだかそう聴こえるのだろうか。それをさらに深く感じてしまうのは、②「Don't Change」⑥「Surrender」ではないだろうか?とくにでは低めのコーラスと、ところどころに散りばめられた鍵盤の音が切なすぎる。これが彼女たちの最大の魅力だと思う。

また、この頃には姿を見せなくなってきたニュー・ジャック系バラードの⑨「Giving You My Love Again」も、キースの名スロウ「Make It Last Forever」を思い出させてくれる。これはキースとデュエットで聴きたかった!

-魔法-

そんなミディアム中心のアルバムだが、なんといっても核は、唯一のといえるアップ、みんな大好き⑤「Lovery Thang」だ。スロウに囲まれているから余計に際立って良く聴こえるのだろうが、楽曲の良さは抜群!ポップな感覚も支持されている理由のひとつだろう。ホント、タイトル通りラヴリーな曲でありながら、フロアでも通用するというところが魅力である。これは90年代R&Bの魔法である。

-予備も買っておくべき??-

今のところアルバムはこの1枚のみ。個人的には、ブラウンストーン(Brownstone)と並んで復活して欲しい女性グループ。2010年の配信限定シングル「Let It Ring」での復活から5年。そろそろアルバムリリースも期待したい。

(2007.01.14/2014.12.27)

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