-好青年!?-
1st『Tyrese』からはバラード「Sweet Lady」がヒットしたこともあり、バラーディアのイメージが先行。それを払拭しようと、2nd『2000 Watts』では意識的にアップを増やし、ストリート感を出した曲作り。しかしながら、ヒット曲と、デビュー前のコカ・コーラのCMのインパクトが強かったのか、クリーンな好青年というイメージは、やはり拭えない。
-アダルト-
そんなイメージを打ち壊し、本当のタイリース(Tyrese)を知ってもらおうと作成した3rdが本作。クライヴ・デイヴィス(Clive Jay Davis)のJレコード(J Records)へ移籍。タイリースが「どんな方向に行きたいのか?」と尋ねると、クライヴは「やりたいようにやりなさい」(こういってもらえるのはタイリースの実力を認めてる証拠なのだろう)と。その結果、テーマをメイク・ラヴとし、アダルト・オリエンテッドな作品となった。
アルバムのほぼ半数の楽曲を手がけたのは、ベイビー・フェイス(Babyface)との仕事もあるデイモン・トーマス(Damon Thomas)と、ロドニー・ジャーキンス(Rodney Jerkins)のチームにいたハーヴィー・メイソン・Jr.(Harvey Mason Jr.)によるアンダードッグス(The Underdogs)によるもの。その他、ジャーメイン・デュプリ(Jermaine Dupri)、ブライアン・マイケル・コックス(Brian Michael Cox)などが参加している。
そのなかでも話題となるのはジョー(Joe Thomas)の参加。⑩「All Ghetto Girl」では、彼の得意とする、セクシーな粘っこいスロウを展開している。タイリースも、きっとこういった路線に行きたかったのだろう。そう思わせてくれるのは、自身作曲の⑫「On Top Of Me」。これまた絡んでくるギター音がエロすぎる。この曲は、なんだかローム(Jerome Woods)みたいだ。
-アップもいけます-
そういったこともあり、スロウの評価が高いこのアルバムだが、ミディアム~アップの曲の出来もまた無視できない。エディ・F&ダレン・ライティ(Eddie F & Darren Lighty)による⑤「She Lets Me Be A Man」は、軽快なグルーヴで作品に風を運ぶ。そして、なんと言っても②「U Don't Give A Damn About Me」である。ざらつきのある出だし~サビでのコーラス、ブリッジでのホーン・セクションの絡み方など70年代フレイヴァーがたっぷり塗りこまれている。いままでのタイリースのイメージを少し変えてくれるような楽曲である。
-男性ファンも獲得できたのでは!?-
ルックスから、女性ファンの多い彼だが、1st、2ndよりも確実に骨太になった本作で、男性ファンも獲得していると推測できるが、どうだろうか。
(2006.01.18)