1. 『House Of Music』
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『House Of Music』(1996)1996
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Review

-前作について-

3rd『Sons Of Soul』(1993)発表時に、ラファエル(Raphael Saadiq)は次のようなことを言っている。

「2002年の若いミュージシャンたちはこう言うのさ。『僕が11歳の時に聴いたトニーズ(Tony Toni Toné)の『Sons Of Soul』は、僕に深く関わっているんだ…』ってね。」

ラファエルの予想は中らずと雖も遠からず。それに相当するソウル史に残る作品となった。大きいこと言って、それを実現しているラファエルの才能。改めてスゴさを感じる。打ち込み中心で進んでいたR&Bに生音をブレンドするやり方は、ベイビーフェイス(Babyface)の「When Can I See You」とともに、シーンへ多大な影響を与えた。

-プレッシャーをはねのけている-

その名作後の4thが本作。個人的には、世間の評価とは逆に、このアルバムこそが彼らのベストだと思う。始まりの①「Thinking Of You」は、西海岸オークランド出身の彼らの感覚での古いサザン・ソウル感。DJクイック(DJ Quick)とタッグを組んだクラブ系③「Let's Get Down」でのグルーヴ。フィリー・バラード風の④「Til Last Summer」での切なさ…。甘い雰囲気のミディアム⑤「Lovin' You」から、不器用で実直な男の表現と言ってしまいたくなる⑥「Still A Man」など、様々な表情を盛り込んでくれている。10曲目までは、アップとスロウが交互に配置されているが、まったく違和感なく耳元に届く。⑪「Tossin' & Turnin'」でみせる東洋的な雰囲気は、後のラファエルの1stソロ『Instant Vintage』への入り口だったのかと考えさせられてしまう。イントロの何秒間は、「細野晴臣さんでしょう、コレ」と思わされた。

-トニーズ以外での活動-

このころのトニーズは、それぞれ他人のプロデュースを行っていた。まずドゥウェイン(D’wayne Wiggins)ブルー(Blue)を、ティモシー(Timothy Christian Riley)アートゥン・ソウル(Art'n Soul)を、そしてラファエルは2005年にようやくリリースとなったオーティス&シュグ(Otis & Shugg)を手がけていた。また、3月にはディアンジェロ(D’Angelo)の「Lady」をR&Bチャート2位へ、6月にはトータル(Total)「Kissin' You」を同チャート6位へ結びつけるという、まさにワーカホリックな時期にあった。そうした中、このようなレベルの高い作品を提供してくれるトニーズに脱帽である。

-そしてグループは…-

すでにラファエルも脱退し、「トニーズはすでにドゥウェインのもの」などと発言し少々淋しい。しかしながら、代わりに入ったエイマー・カリル(Amar Khalil)はラファエルの歌声とうりふたつ。遜色ないグループでの5thを待ち続けたい。ちなみに、エイマーは2006年1月にソロを発表している。

(2005.05.06/2006.01.12)

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