-世間の評価は厳しいが…-
髪型がドレッドになっている。そこに少年の面影はなくなっている。後にテヴィン本人が、
「今思えばちょっと背伸びしすぎたのかな」
と振り返る18~19歳にかけてレコーディングした3rdである。本人は完成度には満足しているようだが、セールス的、世間の評判はイマイチ。しかしながら、私個人は、この作品の出来は高いと思っている。
-うまく外部の力を借りる-
本人が始めてエグゼクティヴ・プロデュースを手がけた意欲作。テヴィンの言葉通り、大人向けに作ったと言えるだろう。その印象をうまく植え付けるために力をかしたのが、ショーン“パフィ”コムズ(Sean Combs)、キース・クロウチ(Keith Crouch)、ジェイミー・ジャズ(Jamey Jaz)、ラサーンパターソン(Rahsaan Patterson)ら。ベイビーフェイス(Babyface)も参加しているが、どちらかというと前作からの流れを継承した曲なので、前に挙げた面々の仕事が目立つ気がする。
特に①「Back To The World」、⑥「Could It Be」の2曲が、アルバムの顔として考えられるのではないだろうか。①は前作からの流れ+成長分、⑥は当時流行のニュー・クラシック・ソウルをなぞっている。この2曲を手がけたのが、ジェイミー・ジャズとラサーン。このコンビでラサーンのファーストを手がけることになるのだが、そのクオリティを想定できる作りだ。
また、ここではパフィがいい仕事をしている。それまでテヴィンが歌ったことのないような曲、⑦「I Need You」、⑧「I'll Be There」を提供。憂いのあるスロウとミディアムが、子どもから大人へとイメージを変えようとするテヴィンの意識をしっかりとらえているように思う。パフィもこの名前の頃はいい仕事が目立った気がするのだが…。
-生き様!?-
この後のセルフ・タイトルとした4th『Tevin Campbell』も結構地味路線。必然的にセールスも悪かった。がしかし、敢えてセールスよりも、自分がやりたい方向に進んだテヴィンに拍手を贈りたい。このセールスが、そののちの間違った方向へと進むきっかけとなってしまったのだろうが…。ミュージシャンはやはり身を削って作品を作っているのだと改めて感じてしまう。
(2006.03.22)