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『New Beginning』(1996)1996
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Review

-大人の階段を登る-

2ndアルバム。1st『It's About Time』から3年以上経過し、ティーン・エイジャーから卒業。3人とも成人し、作品も年齢とともに成長。ジャケットもヤンチャな印象を排除し、大人の装いに。このあたりはTLCと同じ手法(TLCは強い女性を連想するジャケット、SWVは包容力のある女性をイメージしたジャケットではあるが…)である。

-豪華になりすぎると心配なのだが…-

脇を固めるのは、おなじみブライアン・アレキサンダー・モーガン(Brian Alexander Morgan)。そしてオールスター(Allstar)。この2人が核となって制作されている。ほかにも、ダリル・シモンズ(Daryl Simmons)ゴードン・チェンバース(Gordon Chambers)アンドレア・マーティン(Andrea Martin)フェイス・エヴァンス(Faith Evans)など錚々たるメンバーのクレジットも確認される。1stでの成功を受けての豪華メンバーが参加することになったのだろう。よく、メンバーが揃いすぎると各人の色が出てしまい、アルバムに統一感がなくなってしまったりするが、その心配は必要なかった。全く違和感がない。当時はメアリー・J.ブライジ(Mary J.Blige)の台頭で、ヒップホップ寄りの作品が増えていたシーンだが、落ち着いた作品である。

-自由に浮遊する-

とはいえ、R&Bチャートを征した②「You're The One」④「On And On」などは、まさしく時代に沿ったヒップホップ調。そうありながら、マナーを守り、グルーヴしていく。

中盤以降はとにかく聴かせる。⑨「Love Is So Amazin'」などは、ともすればポップに聴こえすぎてしまうメロディーラインであるが、しっかりとゴスペル・ライクに持っていく…。ココ(Cheryl “Coko” Gamble)の歌声、これがキモなのだろう。このポップスとゴスペルの間を自由に行き来できてしまうところが実力者なのであろう。

また、インタールードを4曲配している。どの曲も “間奏” としてしまうのは非常にもったいない。その演出により、さらにアルバムの作品レヴェルが上がっていることは確かなのだが、もっと聴いてみたい気分にさせてくれる。

-「Happy」な、この方も参加していた-

2ndシングルになったのは⑥「Use Your Heart」。これはネプチューンズ(The Neptunes)の初期プロデュース作品にあたる。これだけを聴くと、あまりその特徴は感じ取れない。ファレル(Pharrell Williams)の良い部分(個人的好みだろうが…)がしっかりと詰まっていると感じる。この頃のような作品の方向に戻ってきて欲しいと、筆者は願っている。

1996年。本当にR&B豊作の年と言えるだろう。

(2005.11.11/2015.04.14)

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