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『Spicline』(1995)1995

Review

-生まれては消えて…-

ソウルトリィ(Soultry)のページに記しているのだが、この時期(1995年頃)はアルバム1枚で消えていく実力派グループが多かった…。現在のようにサブスクが成熟したマーケットだったとしたら、彼らは2ndがリリースできていたのではないかと、ありえないことをつい考えてしまう 。そんな惜しい存在だったうちの1組が、このスピークラインである。

-前半の3曲がハイライト!-

それにしても徹底してスロウでまとめられたアルバム。アップは、95年にしては今さら感の強いニュージャックスウィングな⑩「Knik-Knak Patty Whack」[*1]だけである。
 プッシュホンのSEが懐かしい①「Intro」の雰囲気づくりから、タイトルそのままの妖艶な世界が広がる②「Sexy Lady」、湿度が高く粘着質な歌い方と音作りの③「What Am I To Do?」、イントロの語りかけとコーラスを配したサビがいかにも90'sな④「Let's Talk」と、音作りはややチープであるものの、そんなことは吹き飛ばすほどの出来映えである。

-スロウを徹底して-

イントロを挟んでの⑥「Love Groove」はなぜかインスト。音作りは変わらない訳だが、配した意味はよくわからない。ここで展開が変わってしまうのかと危惧したが、三連系の⑦「Never」も延長線上に居てくれる。続く⑧「My Love Will (Last Forever)」も同様に三連系なのだが、こちらは甘く。ファルセットに乗せて軽くニュージャックな音を挟んでいる。タイトル通りのミディアム・スロウの⑪「Slow Dance」もニュージャックの域からは出ていないが、ヘタウマなナヨ声がしっくりはまる。

-消えてしまった理由を考えてしまう-

残念ながらグループはこの1枚で消えてしまう[*2]。これだけ良い楽曲をほとんど自分たちで手がけていた彼らが大成しなかったのは、やはりウタヂカラの問題だろう。この時代にしては、明らかに声量が不足している。楽曲が素晴らしいだけに、裏方で活躍を目指すのも良かったのではないかと、余計なことを考えてしまった。

(2021.08.27)

[*1]この作品に入っているから浮いて感じる訳だが、決して楽曲としては嫌いでは無い。
[*2]2000年にミニアルバムがリリースされている訳だが、これは楽曲から鑑みて1stの前に出廻っていたものだろうと推察する。

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