1. 『We Give Good Lovin'』
  2. SMUV
  3. artist
  4. privatesoulmusic
『We Give Good Lovin'』(1998)1998
smuv-we_give_good_lovin

Review

-濃厚-

濃い。コーラスグループはこうあって欲しい。久しぶりにこんな熱いグループに出会った。そう思わせてくれたのが彼らの3rd『Grown Man』。すぐにこの1st『We Give Good Lovin'』と2nd『Special Lady』を入手してしまったことを思い出す。

そんな個人的にも熱くなってしまった彼らのデビュー盤である。地元のラジオのコンテストで歌っていた②「We Give Good Lovin」が収録されている。

-メンバー全員が主役-

イントロのピアノと熱い(厚い)コーラスで始まる①②。これが期待せずにいれるかというほど力強い。その流れのまま③「I Will Always Love You」へ。ミディアムのリズムに、リードのロナルド(Ronald Lee Ward .Jr)のバリトン・ボイスだけが目立つのではなく、コーラスワークで、“ホンキで愛してる”という熱気を伝えてくる。愛をささやく優しさも必要なのだろうが、肉食系で迫ることも重要なのではないかと思わされるほどの熱さがほとばしる。

それとは対照的に、ギターが切なさを演出する④「Bad Girl Remix」は声が主役の口説き系スロウ。定かではないが、同じ音階を厚く重ねるところから、教会出身だろうと想像してしまう。

-温故知新なハイライト-

⑤「Mood 4 Love」⑥「Ride」(オラン・ジュース・ジョンズ(Oran Juice Jones)が得意とするようなリズムにのせた、雰囲気をくずさない異色ミディアム)のミディアムを折り込んだ、その後がハイライト。

ジョデシー(Jodeci)「Forever My Lady」を彷彿させる⑦「Flex」は、故意に1991年当時のような音使い。彼らがニュー・ジャックを聴いて育ったんだろうという素地が見えてくる。この曲を聴いてしまうと、どうしてもジョデシーと比較したくなるのだが、個人的には互角の勝負ができるのはないかと思ってしまった。荒削りな部分も見え隠れして、それがまた味がある。

そしてミディアム⑧「All My Love」へ。メロディライン、ブリッジでの語り、フェイドアウトしていく雰囲気など、出色の出来。サビで絡んでくるキーボードの音が、チープながらそこにあってほしいリフを聴かせてくれる。また、エンディングで少しだけギターが入ってくるのだが、これがまた嬉しい。

その雰囲気を保ったまま、ボーカルレスの⑨「Ron's Groove」へ。タイトルからしてガイ(Guy)の「Teddy's Jam」を思い出してしまった。やはりSMUVがロナルドを中心としたグループであることがわかる。

-ストリート感とお上品感を同居させる-

ヒップホップ世代であることがうかがえる⑩「Wifey Feturing KOJO」ではラッパーを迎えつつも、ソウルファンにも聴きたくなるような厚いコーラスを楽しめるサビが用意されている。最後にストリートではアカペラで歌っていたんだろう⑪「We Give Good Lovin (Occapella) 」は、のアカペラ。これはちょっとお上品に感じてしまったが、締めとしてはピタッとハマる。ボソッと語りを入れているところが嬉しい。

-ビジネス・ライクに考えると…-

セルフ・プロデュースが可能な彼ら。メジャーで大量に売るよりも、インディで少し売ったほうが儲かるのは間違いないだろう。しかし、こんな暑苦しい(誉めてます)グループがもっと多くの人が聴くことができたら、どんなに素晴らしいことか。流行ってはいないことはわかるが、本当にもったいない。心からそう思う。

(2010.01.10)

List

TOPへ