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『Rome』(1997)1997
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Review

-地味なメジャー・アルバム-

今思えば、このソファに腰掛けるだけの垢抜けない“地味なジャケット”は、2枚目以降インディに移り、マイペースで活動していく前触れだったのだろうか。そう考えさせられてしまうローム(Rome)唯一のメジャー配給の作品であるのがこのデビュー作だ。ジャケット同様、中身も良い意味で地味。だからこその味わい深い。ブラウンストーン(Brownstone)などを手がけたグランド・ジュリー(Grand Jury)プロダクションのジェラルド・ベラゴウ(Gerald Baillergeau)ヴィクター・メリット(Victor Merritt)がプロデュース。ジェラルドに至っては、ほとんどの曲でロームと共作している。しかしながら、ホントにこの相性は抜群である。

-むしろアイズレー-

中身はスロウ中心。まず大ヒット(R&Bチャート2位、Popチャート6位)のデビュー・シングル①「I Belong to You」から始まる。当時BMR誌で、“もっとセンシティヴィティみたいなものを1から見直してもらいたい”という恋愛感を語っているが、その言葉が伝わってくる内容だ。メロディをかみしめるように、ささやくように歌う。丁寧に。

続く②「Do You Like This」④「Just Once, Once More, Three Times」⑤「I Gotta Be Down」…。とにかく同路線のスロウでたたみかける。帯にはサム・クック(Sam Cooke)以来の…というコピーがあるが、むしろアイズレーズ(The Isley Brothers)などのメロウネス路線の影響が強く感じられる。RCAもR.ケリー(R.Kelly)路線として売り出したかったのではないかとも考えさせられてしまう。それだけ珠玉のスロウが整列している。

-器用-

そんな中で③「Crazy Love」というミディアムが光る。前後のスロウ、そしてこの曲がお互いのバランスを保っている。わかりやすいメロディラインのこの曲は嫌いという人はいるのだろうか!?それくらいキャッチーな仕上がりになっている。また、このヒトの魅力がわかりやすいのは⑬「Heaven」。こういったアーバンな曲までも歌いこなせるところ、そして高音域で歌いまわし。ボトムの聴いた曲では、時折南部風のソウルっぽく歌う彼が、こんなに繊細に…。なんと器用なのだろうか。

ほかにも⑦「That's the Way I Feel About 'Cha」ボビー・ウォマック(Bobby Womack)のカヴァ、⑪「Never Find Another Love Like Mine」の正統派路線…などなど。様々な歌い方で聴き手を楽しませてくれる。

-ジャケットを何とか…-

この作品以後、インディで作品を作り続けている。いずれもこの路線を保ちながら(欲を言えば、もう少しアップに期待したいのだが)、質の高い音を届けてくれている。だけど…相変らずジャケットはイマイチな気が…。

(2006.02.10)

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