1. 『Back To The Real』
  2. REEL TIGHT
  3. artist
  4. privatesoulmusic
『Back To The Real』(1999)1999
reel_tight-back_to_the_real

Review

-ジャケ買い-

ブカブカのレザー・ジャケット&パンツの4人組。バイクに跨り悪ぶるが、表情をみるとギャングになりきれない純粋な顔立ち。撮影にはお金をかけていない様子…。そんな要素が揃っていることから、“間違いなく歌えるグループ。買い!”と判断できる。そしてやはりその予想はピッタリと当たった。

-仕掛け人-

仕掛けたのはご存知ウォーレン・G(Warren G)。それゆえ、“ヒップホップ色が強くなりすぎるのではないか!?”とも懸念した。しかし、その心配は軽くかき消された。むしろR&Bとヒップホップが巧みに溶け込んだ内容になっている。彼がプロデュースした③「I Lied」などはその真骨頂。低いビートに重たいベースラインを織り交ぜ、叩きつけるようなチャッキー・ブッカー(Chuckii Booker)のキーボード(チッキーは、①「(Do You) Wanna Ride」⑧「Lady」にも参加)が印象的なアップチューンに仕上がっている。彼自身がラップを披露している⑥「Don't Wake Me」などは、冒頭のみラッパーとして登場するものの、あとは目立たず、裏方に徹し、主役をリール・タイト(Reel Tight)にちゃんと譲る。サビの“Only You…”からのコーラスは切なく、決して太くない彼らの歌声にフィットしている。また、④「I'm So Sorry」では、レーベル・メイトだったジェシカ(Jessica)をフィーチャーさせているところに戦略を感じるが、彼女もしっかり歌っている。(ちなみにこのジェシカだが、いったんシーンから姿を消すのだが、ミッシー・エリオット(Missy Elliott)のオーディション番組で優勝し再浮上。アーティスト名をジェシカ・ベッツ(Jessica Betts)とし、活動を続けた。)

-サポート陣-

シングルだった②「I Want You」には、ヴィンセント・ハーバート(Vincent Herbert)ロブ・フサーリ(Rob Fusari)。今やレディ・ガガ(Lady Gaga)を手がけている2人は、この頃から繋がっていたことが確認できる。ベースのリフがアグレッシヴなところ、ギターのカッティングを効果的に配しているところなど、そのエッセンスの盛り方はさすがである。

アース(Earth,Wind & Fire)のカヴァの⑫「Reasons」を手がけたのは、本家からラリー・ダン(Larry Dunn)。ミレニアム・バージョンを忠実に再現している。ここでフィリップ・ベイリー(Philip Bailey)役を努めるのはボビー・トーレンス(Bobby Torrence)。ファルセットを存分に披露してくれている。もろにボーイズⅡメン(Boyz Ⅱ Men)している⑦「How Can I See」マーク・ネルソン(Mark Nelson)。ボーイズⅡメンの設立メンバーであった彼らしい、胸焼けバラードである。

-80’s!?-

アニタ・ベイカー(Anita Baker)!?と思ってしまったのは⑧「Lady」。オブライアン(O'Bryan)の「Lady I Love You」をサンプリングし、懐かしい雰囲気を醸し出している。その流れのまま⑨「Sittin In The Club」へ。メンバーが作曲を手がけ、ウォーレン・Gがプロデュースし、ロニー・デヴォー(Ronnie DeVoe:New Edition)がラップするという、しっかりした役割分担が見事にはまった1曲と言える。この楽曲をベストとする人は多いようだ。

-前向きに考えると…-

シングルのチャート・リアクションがイマイチだったこともあり、この作品の後が続かなかった…。しかし、1999年というコーラス・グループにはとてもつらい時代にアルバムのリリースへ結びつけることが出来、さらにコレがお宝盤化はしていないこと。それだけでも良し!とすべきなのかもしれない。

(2011.11.23)

List

TOPへ