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『Ol Skool』(1998)1998
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Review

-可愛い子には…-

シルク(Silk)に代わってKeiaに加わった彼らのデビュー作。当然キース(Keith Sweat)先生が全面プロデュース…と思いきや。関係したのはヒットした⑩「Am I Dreaming」の1曲のみ。それは彼らをほっといても大丈夫と判断したからなのではないだろうか。そう思いたくなるほどに、彼らグループ自身が制作したプロダクション(と言ってもほとんどボビー・クロフォード(Bobby Crawford)が作っているようだが)が多数を占めた。

-ボビーの作曲能力-

メンバーのボビー・クロフォードが6曲をコンポーズしているわけだが、そのなかの楽曲の中にデビューシングルが存在。②「Set You Free」は、数少ないプログラム音とリズムのみというプロダクションに、リードのボビーが、歌いまくりたい衝動を抑えてささやいている声がフィット。こんなにシンプルな作風なのに温かく、まるで肩のコリをほぐしてくれるように仕上がった。プーキー(Pookie Lane)の喉に思わずうなずいてしまう③「Come With Me」、サビがジョデシー(Jodeci)を思わせる多重コーラスの⑤「Still Here 4 U」では、キース先生の世界観を再現。特には粘着系。サビの“You Know…”と繰り返す部分や、後半のブリッジ部分なんかは、羊節全開である。

-2つのハイライト-

そのキース先生のKeiaに所属するケヴィン・ジョンソン(Kevin Johnson=キースの『Still In The Game』『Didn't See Me Coming』でもその名前は確認できる)なる人物が手がけた⑥「Without You」が白眉の出来。イントロのギターから切ない。サビの“You're My Destiny…”の部分が泣けてくる。おそらく2コーラス目の冒頭を歌っているのはプーキー。この南部っぽい、どこかイナタイ感じ。ホントに大好物だ。

前出のアトランティック・スター(Atlantic Starr)のカヴァ。もとの楽曲がよいから悪いはずがないのだが、ここでのキース・スウェットの立ち位置に注目したい。彼が登場するのは後半のコーラス部分から最後にかけて。特に最後の部分で初めて目立ってくるのわけだが、歌唱力ではオル・スクール(Ol Skool)やフィーチャーされているエクスケイプ(Xscape)の誰にも敵わないのを分かった上でのこの登場。そう。この楽曲はメェメェ声よりも正統派が似合うのだ。自分が出すぎずに、楽曲をより良いものに仕上げようという姿勢に好感が持てる。

-やはり、彼の存在感-

結局キース・スウェットがほぼ登場しないといいながら、文章中に何度も登場させてしまった。やはりその影響力はすごいと改めてそう思った。それが理由!?なのかどうかは分からないが、アルバムはマルチ・プラチナム(200万枚以上)を獲得。完成度と比例した形となった。

(2011.04.11)

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