1. 『Meant To Be Mint』
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『Meant To Be Mint』(1991)1991
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Review

-実力をもつ新人アーティストの登場-

ジャム&ルイス(Jimmy Jam & Terry Lewis)のパースペクティヴ(Perspective Records)からのデビュー作。地元セントポール(Saint Paul ,MN)を中心に10年近く活動を続け、スタジオミュージシャンとしても活躍してきたセルフ・コンテインド・バンドであり、またジャム&ルイスはエグゼクティヴ・プロデューサーというだけで音作りには参加していないなど、ポッと出の新人というわけではなかった。

-名刺代わりの大ヒット-

デビューシングルは、④「Are You Free」。シンセによるビートからスネアを効かせたファンクはR&Bチャート58位を記録した。そして続くセカンド・シングルに選ばれたのが③「Breakin' My Heart(Pretty Brown Eyes)」であった。現在まで続くミント・コンディションの印象を決定づけた、ストークリー(Stokley)のナヨ声(もちろん誉め言葉です)と溶け合うメロウなスロウは、POPチャートで6位、さらに92年の年間チャートでも48位に入る大ヒットとなった。全体的に漂う憂いと中間のサックスなど、プロダクションを含めて全く古さを感じさせない楽曲は、アルバム中でも出色の出来であり、多くのアーティストがカヴァ及びサンプリング[*1]している。楽曲は、メンバーのローレンス(Lawrence Waddell)、ストークリー、ジェフリー(Jeffrey Allen)というメンバー自身が担当しており、当時はこの楽曲を聴くだけで、ただの新人ではないということがわかったのではないだろうか。

-他のスロウも魅力-

と同様に話題に上がるのは、やはりスロウの⑦「Forever In Your Eyes」。どことなく日本の歌謡曲のような、サスペンスドラマのエンディングに使われそうなメロディラインであるが、もちろんきちんとソウルしている。また、鍵盤の旋律に妖艶にのるストークリーのヴォーカルが神秘的な⑨「Single To Mingle」など、デビュー作の時点でスロウに一目置きたいグループということが浮き彫りになっている。

-ではアップは?-

当然ながらスロウだけで彼らの魅力は終わらない。このあたりは、ジャム&ルイスがお目付役でいるわけだから、当然と言えば当然である。
 冒頭から重たいファンクビートをのせ、ベースラインが歌っている①「True To Thee」は、ただファンクするだけではなく、サビの「I'm gonna be…,True to thee」とリフレインするメロディラインが印象的。ついつい口ずさんでしまう。
 また、かわいらしさも兼ね備えた⑥「Try My Love」はレゲエ調。ストークリーの声があって成り立っているような、良い意味でポップ感を生み出し、軽く踊ってしまいそうな楽曲である。
 その他の楽曲も、音的には古く感じても、当時のことを思えば納得でき、30年以上たった今でも充分に楽しめる。それだけきちんとつくられているということではないだろうか。

-基礎-

何事においても基礎というものは大切であり、そこがぐらつけば崩れてしまう。ミントはこの作品で強固な基礎を築き、長きにわたって活躍することになる訳だが、当時本人たちはどれほどの自信があったのだろうか。いずれにしても、素晴らしいスタートを切ったということは間違いないだろう。

(2022.02.26)

[*1]西崎信太郎さんのr&b SOUrCE参照。

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