-心配だった-
2005年の前作『Livin' The Luxury Brown』はインディ作品でありながら、R&Bチャート11位まで上昇(インディチャートでは首位を獲得)。久々に、ミントの存在感を見せ付けられた。しかしながら、筆者はなんだか満足できなかった…。(もちろん、ミントだから期待値が高すぎたというきらいはあるのだが…)そんな理由からミントの新作と聞き、多少の不安があった。「もっとロッキッシュになってたらどうしよう。」と。
-予想ハズれる-
しかし、その不安は的中せず、祝!ミント印!!であった。その回帰ぶりにおもわず乾杯したくなる快作だ。出だしからストークリーのナヨ声(誉めコトバ)と、ゲストのアンソニー・ハミルトン(Anthony Hamilton)という対照的な声の2人が絡み合う①「Baby Boy Baby Girl」。アンソニーの雰囲気にあったこの曲を、ミント風味のピアノのリフを配置。そのバランスがたまらなく心地よい。大人なアンソニーと子どもな(誉めコトバ)ストークリーの雰囲気が面白い。年齢的にはストークリーのほうが4つ上なのだが…。
-優しいメロディー-
達郎さんを思い出すリズムに、若干のヒップホップテイストを添えたような②「Somethin'」。前へ進みたくなるようなミディアム・ファンク?とでも言おうか。途中のRapの部分はガリアーノ(Galliano)を思い出させてくれる。それに続く③「Just Can't Believe」はストークリーの世界。ゆったりと切ないメロディを歌い上げる。これと同様に④「Goldigger」はメロディが優しい。ハーモニカがなんとも愛らしい。
-ミント印-
そして本作のハイライトは⑥「Nothing Left to Say」だろう。これこそ待ち焦がれたミント印ではないだろうか。トロビカルな音に横揺れしたくなる。
その他、まるでエリック・セラ(Éric Serra)の楽曲?と言いたくなる⑨「Why Do We Try」、まったくトニーズ(Tony Toni Toné)風な⑩「Back and Forth」、⑪「Moan」など、前半ほどはないものの、聴きドコロは後半にも多数用意されている。
-頭が下がります-
やっぱりミントは、この作品のように愛らしい系でいて欲しい。ロック、ヒップホップなどの融合というのを否定するつもりはないのだが、“いつもこのカンジ”というものを持ちつつ、それを続けることの素晴らしさ、難しさというものもあるだろう。コンスタントに作品をリリースしているミントにはホントに頭が下がるところだ。
(2008.08.24)