1. 『Gimme The Keys』
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『Gimme The Keys』(1991)1991
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Review

-プリンスフォロワーは戦略なのか??-

その後の ミキの活動を考えるとメジャーからの配給の意味などあまりないような気がするわけだが、この2ndまではメジャーからのリリースであった。
 そんな理由からなのか、本人の希望なのかはよく分からないが、明らかに楽曲の標記に“To→2”や“You→U”、“I-O-U”を用いたり、わざわざ1stからプリンス(Prince)仕立ての⑤「Stand」を再掲したりと、どうも殿下のフォロワーをイメージさせる戦略を感じ取れてしまうところに多少の違和感を感じてしまう。
 きっと本人も殿下からの影響を受けているわけだが、そこまで大きな振り幅を表現したいようには思えない。また、カヴァーもデビュー作では「Knockes Me Off My Feet」、今作では⑦「All I Do」と、どちらもスティーヴィー(Stevie Wonder)をやっていて、その後の作品から考えても、もっとメロウなものをやりたかったのではないだろうかと思ってしまった。
 ちなみに、このは、いろいろな人がカヴァしている名曲であるわけで素晴らしいものは多数あるわけだが、決してウタヂカラがあるとはいえないミキが、それにしっくりなじむようなアレンジを施しているところに、カヴァー収録する意義を感じる。

-やはりセンスの塊-

とはいえ、だからといって作品が悪いわけではない。ファンクな楽曲にもミキらしい、メロディアスな中に(良い意味で)変態的な展開もきちんとブレンドされている。
 シングルにもなった②「Whenyadowhatchado」は、80年代風なアレンジにニュージャックを加えた爽快なダンストラック。そのコーラスには、マーヴィン(Marvin Gaye)の「Mercy Mercy Me」のヒトフシをオマージュ。このあたりのセンスが、彼の才能を垣間見ることができる部分だろう。

-未来のミキの姿に近づくメロウな2曲-

スロウでは、ちょっとクワイエットによりすぎ感もあるが、⑧「I-O-U Love」が秀逸。ゲイリー・テイラー(Gary Taylor)のような、ささやくようなヴォーカルにソプラノサックスがレスポンスするという上質な展開になっている。
 つづく⑨「All My Life (I've Waited) 」も同様なスロウ。詞は口説いている内容なのにナイーヴなメロディとアレンジというのは気になるが、それだけ本気度の高い気持ちということなのだろうと、余計な深読みをする筆者であった…。

-悪い意味ではなく…-

アレンジ的にも決して新しいものではなく、リリース時には成熟していたニュージャックスウィングであるが、ここではどちらかというと初期のニュージャックの残り香が漂う。それは1stと同様である。
 ここまでのメジャー2作品を聴く限り、ミキの才能を垣間見ることができても、以降のインディでのスタイルに行き着くとは思えない。リアルタイムで聴いてきた訳ではないが、この2作目までだと、この先の活躍を想像できたとは思えないだろう[*1]

(2022.06.17)

[*1]ここまでの活動を否定するわけではなく、その後の作品が良すぎる!という意味。

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