1. 『Make Time For Love』
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『Make Time For Love』(1991)1991
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Review

-良くも悪くも-

キース・ワシントン(Keith Washington)といえば、まず連想されるのは③「Kissing You」ではないだろうか。R&Bチャートを征し、POPチャートでも40位に入ったこの曲、1stアルバムが70万枚売れた原動力ともいえるヒットだったわけだが、良くも悪くも彼のその後のイメージを決定付けてしまった。(このあたりはデビュー前に楽曲を共作した間柄のフレディ・ジャクソン(Freddie Jackson)と似ている…)そんなスロウなイメージで語られることの多いキースのデビューアルバムだ。

-クワイエット・ストーム-

“女性版アニタ・ベイカー(Anita Baker)”というキャッチコピーで売り出したわけだが、確かに的を射ている。それくらい、クワイエット・ストーム的な内容と言えるのではないだろうか。①「All Night」のスペイン風ギターはチョット???だが、②「Make Time For Love」、前出の④「Are You Still In Love With Me」のスロウ3連発の静かな嵐は“どうだ!!”と言わんばかりに聴かせてくれる。これを聴いた時に「アト5年早くリリースしてたらもっと売れてたのでは!?」と思わず言ってしまいたくなる80年代の香りが充満している。

-効果的な配置-

そんな甘い作品にスパイスを効かせたのが⑤「When You Love Somebody」⑥「Ready, Willing And Able」の2曲。この2曲を配することによって、他のスロウが活きるのはもちろんだが、逆にこのアップが新鮮に聴こえてくる。特には、楽曲のよさはもちろんだが、この効果によって、特に印象深い仕上がりとなった。がニュージャックっぽいのは時流だろう。そして残りの4曲でスロウダウン。⑦「I'll Be There」バリー・イーストモンド(Barry Eastmond)によるミディアム。女性コーラスとの絡みが楽しめる。続く⑧「When It Comes To You」⑨「Lovers After All」やはり、フレディ・ジャクソンの世界感。アダルトな雰囲気で迫ってくる。そして閉めの⑩「Closer」は最初のジェラルト・アルブライト(Gerald Albright)のサックスの音色からしてアーバン色濃厚。これら4曲には本当に癒される…。疲れたときにゆっくりと聴きたいものだ。

-歌唱力は流行を超える-

アルバムの曲数、曲順、スロウ中心なのに退屈にさせないという工夫もあり、それゆえにトータルとして聴きたい作品。ニュージャックの時代に、よくこんなヴォーカル・アルバムが作れたものだ。これもキースの“ウタヂカラ”がそうさせたものなのだろう。ちなみに筆者、この作品を、3枚1,000円セールで手に入れた。今もそんなに高い値段にはなっていないはずである。

(2006.12.25)

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