-ん!?ベイビーフェイス参加??-
プロデュースはベイビーフェイス(Babyface)が…。もしもそういわれていたら、なるほど、と思ってしまうかもしれない。もちろん、しっかり聴きこめばその違いは判るのだが、それほど親しみやすい楽曲が並んでいる。
この“似ている感”を醸し出したのは、ケニ・バーク(Keni Burke)。そして、彼が起用したサム・ソルター(Sam Salter)である。童顔氏の門下生であるサムは当然として、大ベテランのケニが、よくここまで柔らかく仕上げたなというのが最初の感想だった。
-一瞬戸惑ったものとは-
無機質な電子音でのビートが張り巡らされている①「Tell Me It's Alright」が始まったときに、シェイクスピア(Kevin“She'kspere”Briggs)を連想してしまい、「こ、これは…」と一瞬戸惑ったのだが、それに打ち克つドラマティックな鍵盤の音を聴いて一安心。
続くタイトル曲②「Do What I Gotta Do」は、“電話・雨・語り”と三拍子そろったイントロ。この時点で不安は解消された。
そして、マリオ・ワイナンズ(Mario Winans)の1st風な③「I've Been Workin' Hard All Day」は憂鬱な空気感のあるメロウなスロウ。カルヴィンの哀愁ある歌声とケニのコーラスも溶け合い、(ソウル感は少なくと)狂おしい。
-サム・ソルターが手掛けた楽曲-
前出のサム・ソルターが手掛けているのは、①、④「Can I Be Your Lover」⑤「Over And Over Again」⑥「The Perfect Moment」⑨「I'll Show You How」⑩「You Say」。アルバムの半数を複数人共同で手掛けている。その中でも彼らしさを発揮しているのは、断然⑤⑥。特に前者は、明るいメロディに優しい歌声、コーラスの重ね方などラフェイス産!?と誤解してしまうほどそっくりな“Tender Lover”な世界である。
-カヴァはスティーヴィー-
評価が分かれるであろうスティーヴィー(Stevie Wonder)のカヴァだが、筆者は大好き。もちろん原曲の良さは当然のことなのだが、忠実に原曲に寄せてやっているところが、「この楽曲、大好きなんです!」とカルヴィン自身が語っているような気がして好感が持てる。但し、ソウル度は低め。これはカルヴィンの歌声に良くも悪くも比重するものが大きいのだろう。
-ソウルを聴き始める作品に-
最後までインディっぽさは少なく、このあたりはケニ・バークのなせる業なのだろうと納得させられてしまう。濃厚なソウルを求める人には不要なのだろうが、テナー好きには長く聴ける作品。初めてソウルの世界に入る人にはモッテコイである。
(2017.03.07)