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『Forever My Lady』(1991)1991
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Review

-流行とは-

ガイ(Guy)の出現以降、実に多くのガイ・フォロワーが誕生した。ジーン・グリフィン(Gene Griffin)が手がけたトゥデイ(Today)ベイシック・ブラック(Basic Black)TKAなどなど。その多くはニュー・ジャック・スウィングを歌うためのグループのようだった…。しかし、ニュー・ジャックの勢いは91年に失速する。87年のキース・スウェット「I Want Her」から5年。目新しさが無くなったのだろう。流行とはそういうもの。そして、ダンスの流行が去れば、ヴォーカルものが浮上する。それは、ソウルの歴史において、いつの時代も繰り返されてきたことだ。

-確かな実力-

そういった時代のなか、絶妙のタイミングでこのアルバムをリリースしたのが、このジョデシィ(Jodeci)である。

デビュー・シングルとなった⑧「Gotta Love」こそ、ニュー・ジャックをそのままといったカンジの作風でそれほどヒットしなかったが、それ以降のシングル①「Stay」②「Come & Talk To Me」③「Forever My Lady」は、なんと全ての曲がR&Bチャートを制してしまった。スロウで3曲ともチャートを征するなんていう離れ業は、しっかりした素性があってこそ。もちろん時流に乗ったということも理由に挙げられるだろうが、それだけではないことをヘイリー兄弟のヴォーカル、ディグレイト兄弟のプロダクションが簡単に証明してくれている。この3曲には、ニュー・ジャックを巧みに消化した音、そしてヴォーカル・パートの完璧なコーラス・ワークが存在する。特に、プロダクションは真似できても、後者については、教会育ちの声がないと成り立たないものだ。これがジョデシィがボーイズⅡメン(Boyz Ⅱ Men)とともに、2大グループとなった最大の理由であろう。

-メリハリの利いた構成-

アルバムは、①「Stay」~⑤「U&I」までがスロウ、インタールードを挟んで、⑦「My Phone」~⑫「Xs We Share」は全てアップという、徹底した並び。もちろん後半のアップ、特に⑩「It's Alright」⑫「Xs We Share」なんかは、今聴いてもカッコイイ。この2曲については、完全にはニュー・ジャックの息は脱しきれていないのだが、そこが現在となっては嬉しいところである。

-これぞJODECI-

キキドコロはやっぱり前半5曲となるだろう。特にでみせる、全員教会出身ということがうなずけるコーラス・ワーク、そして微妙に絡んでくるピアノ音。このあたりが、ニュー・ジャックを“消化した”音なんだと思う。はシンプルな音の上にしっかりしたコーラスが乗る。それだけで切なさを演出できているところがジョデシなのだろうと痛感させられた。

-個人的には…-

この作品からコーラスグループの隆盛が始まっていったと言っても過言ではない90年代初期。筆者としては、こういったムーヴメントの再来を切望している。

(2005.12.20/2011.04.15)

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