-本職。「ミュージシャン」-
裏ジャケットをみてみるとジェイミー本人がピアノを弾いている。そう。本業はミュージシャンなのだ。だからこのアルバムが作曲/プロデュース/演奏などを本人がこなしているといってもごく当たり前のことなのである。それを前提に考えて(俳優というのは考えずに)純粋に聴かなきゃ失礼である。といいながらもレコードの配給先が映画で有名な“FOX”から出ている点が気になるが…。
-やりたいことが見えてくる-
3rd発売時にbmr.jpのインタビューで次のように述べている。
「サウンド的には、何とかヒップホップとR&Bをうまく“結婚”させたい、って思ったんだ。」
この発言は、この1stを聴いても紐解けそうだ。①「Peep This」③「Miss You」④「Dog House」なんかは、そのやりたいことが見えてくる。(もちろんニュージャックな感じだが…。④の女性のラップは個人的には不要。)
⑦「Precious」なんかはモロにニュージャックしている。そのコーラスにはシェリー・フォード・ペイン(Sheree Ford-Payne)とイメージ(Emage)の名がっ!!実力派の2組が巧く色づけしてくれている。また、⑧「Your Love」ではプリンス(Prince)の「If I Was Your Girlfriend」をサンプリング!殿下がお好きなのは、その後の作品を聴いても良くわかる。
-肝となるのはスロウ-
しかし、この作品で聴きたいのはやはりスロウだろう。 まずはシングルになった⑤「Infatuation」。R&Bチャートで36位までしか上昇しなかったものの、出来は素晴らしい。キース・スウェット(Keith Sweat)あたりがネチネチ歌うのが似合いそうな粘着形スロウだ。残りのスロウは後半にまとめられた。 ⑨「Summertime」は、いかにもニュージャック期のチャカポコ・ミディアム。遠慮がちに聴こえるギターのリフがさりげなくカッコ良い。 ⑩「If You Love Me」は、ブラウンストーン(Brownstone)のそれとは同名異曲。この曲でも前出のイメージ(Emage)が効果的に絡んでくる。音数は少ないもののピアノとパーカッションの音が切ない雰囲気を演出してくれている。ポップなメロディーラインを、ただの優等生的な楽曲に収めないアレンジもキキドコロだ。これら、⑤⑨⑩がこの作品の肝となる楽曲だろう。
-流行りもおさえてます-
ピアノマンなところを見せてくれるのは⑪「Don't Let The Sun Go Down」。物悲しいメロディを弾き語りで聴かせてくれている。⑬「Light A Candle」も同様、弾き語りかと思いきや、ベース、コーラスが徐々に加わってくるドラマティックな展開。サビのコーラスやブリッジ部分の盛り上がりは当時流行っていたボーイズⅡメン(BoyzⅡMen)風かな!?曲としては、ボズ・スキャッグス(Boz Scaggs)が歌っていてもおかしくないような(=白っぽい)…。映画で使われそうな雰囲気のあるスロウだ。
-高値でも手に入れるべきか!?-
あまり売れなかったため!?、希少盤として価格が高騰している。もちろん良い作品であることには間違いない。しかしながら、\3,000~¥3,500なら買い、それ以上なら…。
(2010.12.12)