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『Beneath The Surface』(1996)1996
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Review

-ヴォーカル・オリエンテッド-

再びメイザ・リーク(Maysa Leak)がカムバックした96年作の6th。前作はメイザが不参加(ソロ作を作っていたからだと思われる)であったため、パメラ・アンダーソン(Pamela Anderson)を起用。ブルーイもパメラの実力に魅せられていたから、「メイザの復帰は(残念ながら)ないだろうなぁ」と思っていた当時を思い出す。いい形で裏切られたメイザの復帰。それも大きく影響したであろう。前作でみせたヴォーカル・オリエンテッドなスタイルを、より深めた作品となった。ゆえに、個人的には、前作と本作の2つが、第3期インコグニートだと思っている。「今まで家のなかに閉じこもっていた子が、外に出てリラックスしたカンジ!?」と言うか…。とにかく、なんだかいい意味で力が抜けている。

-意外な…-

最初はドラマティックなインストで始まるもものの、②「Labour Of Love」では、いきなりの男性ヴォーカルが登場。クリストファー・バリン(Christopher Ballin)の力強い声には、インコグニート=女性ヴォーカルと思ってしまっていた筆者としては面食らった。しかも、メイザの復帰作でありながら、いきなりその声を使わないところがブルーイらしい演出だ。とはいえ、このクリストファーの歌声は、聴けば聞くほど良くなっていく。これはこれであり。

-メイザ登場-

そんな多少の戸惑いを感じながら ③「Beneath The Surface」④「Shade Of Blue」へ。メイザの声を乗せるのは、どこか南の島の海岸線をドライブしているかのような雰囲気の曲。そうでありながら、は、3rd収録の名曲「Deep Water」を思い出す、悲しみを含んだバラード。メイザはこの曲を聴いたとき、思わず涙してしまったという。

-ルーツ-

そんな、ヴォーカル中心のアルバムとはいえ、昔からのジャズ・ファンクも忘れてはいない。最後に収録されている⑫「Dark Side Of The Cog」は、テクノロジーと昔ながらのブラスのコラボレーションがたまらない。こういった楽曲を必ず挟んでくるブルーイのスタイルが嬉しい。

-国境や肌の色を超えて-

国内版の帯にはこう書いてあった。

「Beyond The Color, Beyond The Nation」

国境や肌の色を超えて…。まさにアフリカ生まれロンドン育ちのブルーイならではのメッセージである。少なくともこのアルバムを手にした人が、そういったことについて考えるべきなのだろう。

(2005.12.10)

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