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『Guy』(1988)1988
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Review

-斬新-

1988年。筆者は当時小学校5年生。まだブラックを好んで、いや、音楽を好んで聴くという習慣すらなかった頃。だから、全くリアルタイムで聴いてないのが残念なのだが、後追いでこの時代の音を聴いてみると、確かに斬新な音作り、というか機械と肉声との溶け込みかたとでもいったらいいのかな?その違いは良くわかる。そこが、鈴木啓志さんが『R&B・ソウルの歴史』で書かれているように、「独特の打ち込み音のビートと、教会からのクワイア的なコーラスの融合」ということになるのだろう。

-ニュー・ジャックとの邂逅-

そんなわけで、当時を体験したわけではないが、この“ニュー・ジャック・スウィング”なる一大ムーブメントは、ブラックシーンのみならず、ポップス界、もちろん日本にも影響を与える。筆者が“ニュー・ジャック”の洗礼を受けたのは、ブームも去り始めた91年。意外にも横山輝一のアルバム『JACK』だった…(筆者の音の歴史参照)。中学2年生だから、邦楽メインで聴いてた頃。しかしながら、実はこの作品。横山氏が渡米し、チャッキー・ブッカー(Chuckii Booker)などの周辺ミュージシャンが参加した意欲作。そりゃ、タイトルも『ジャック』にしますよ。あの“チャカポコ”と聴こえる音が大好きだった。

-クワイア的コーラス・ワーク-

話がそれたが、それだけヒトの心を動かした作品だ。①「Groove Me」でのビートと、わかりやすくもカッコイイというコーラス。さらにリズムだけだと、こちらのほうがよりビートを理解しやすい②「Teddy's Jam」へと続く。その流れをホッと一息つかせてくれるのが⑤「Piece Of My Love」だ。2nd収録の「Let's Chill」とともに、語り継がれるべきスロウだ。

-アーロンに注目!-

また、このアルバムでは、どうしても音作りのほうが語られることが多いのだが、アーロン(Aaron Hall)の歌声にも注目。父親はブルックリンで、教会を所有していたらしいから、さぞかし子どもの頃に鍛えられたのだろう。ボトムのきいた力強い歌声は、ギャップバンド(Gap Band)チャーリー・ウィルソン(Charlie Wilson)直系といわれている(両者はクインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)のアルバムで、これまたアーロン直系のR.ケリー(R.Kelly)とともに競演している。

-歴史的記録-

なんと6枚もシングルカットされたこのアルバム。チャートに70週間ランクインし続けたらしい。作品が続々リリースされる現代では考えられない事実だ。

(2005.12.19)

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