-1stとは異なるアプローチ-
”雨後の筍“のごとく生まれたニュージャック期の男声コーラスグループ。このフェイズもそんな時流に揉まれたグループの一つである。
しかし、この2ndでは、インディからのリリースと言うこともあり、自分たちの考える世界観を前面に押し出せることができたのではないだろうか。1stとは異なり、全てをミディアム~スロウで固めてきた。
-メンバーの実力が試される-
前作ではトロイ・テイラー(Troy Taylor)がプロデュースした楽曲もあったが、それもメジャー配給だったからだろう。今回はメンバーが中心となり制作している。そのなかでも、ロバート(Robert “K-LOVE”Wright)とエドワード(Edward “L.A.” Faison)がほぼ全ての楽曲の制作に携わっている。
インタールードの①「Interlude」から、ベッドサイドの雰囲気。②「Keep It Goin'」、③「How Can I Be Down」も同様に、いわゆる“Rケリー節”である。まねと言われても仕方ないかもしれないが、彼らにはこのような楽曲が一番似合っているような気がする。粘着性は低くとも、この世界観をもっともっと追求して欲しいと思わされた。
-嫌いではないのだが-
④「Love Affairs」からは、どちらかというと優等生になってしまう。タイトル曲の④は、その名前から、③までの流れ同様のものかと思いきや、センチメンタル系になっている。⑫「Love Affairs(Instrumental)」にアウトロとしてインストを入れているのだから、メンバーとしてはこの楽曲推しなのはわかるのだが、個人的には③までの流れをメインに据えてもらいたかったというのが本音である。
⑤「I Do」も優しいポップなスロウ、⑥「My Love」は悲しげなスロウ、⑧「Where's The Love」も丁寧なスロウ、⑨「Tear Drops」は白色度の高いスロウ、⑩「Oh No」はライオネル・リッチー(Lionel Richie)のカヴァ[*1]で、鍵盤を中心としたスロウ…と続く。筆者はスロウが続くアルバムは好物なのだが、どうも特徴が足りない。どれも同じような、きちんとしたバラードなのである。突出したボーカルやシャウターがいないことが原因かもしれないのだが、すこし胸焼けしてしまった。
-アーティスト優先主義-
この作品の後作『Cold Sweat Again』も基本的には同じ路線。決して悪くないのだが…。これは個人の好みによるものなのだろうが、もう少し黒く染めて欲しかったと思う。
(2021.05.15)