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『Open Invitation』(1994)1994
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Review

-ハズれるわけがありません-

デビュー作にして最終作品…。90年代の前半には、このようなコーラス・グループはいくつあったのだろう。そう考えさせられちゃう彼女達の唯一の作品。パースペクティヴからのリリースにもかかわらず、ほぼ全曲ジェラルド・リヴァート&エドウィン・ニコラス(Gerald Levert & Edwin “Tony” Nicholas)が関わっている。そりゃ、ハズレるわけないよね~、の安心印の1枚である。

-この時代だからこそ、の音-

全体的にミディアム~スロウが多いのだが、このアルバムの特徴というか、キモとでも言うべきなのだろうか、“ニュージャックを完全に抜け出していない感と、ヒップ・ホップ・ソウルの試行錯誤感の同居”は、アップの3曲、②「Does It Get Any Better (Part 1)」④「No Games」⑫「Break It Down」に見ることができる。などは、出だしのラップとバックの打ち込みの絡み具合が、この時代にしか出来ないような、2つの時流の境目を泳いでいるような感覚だ。打ち込みの音が進んできたような…でもまだまだ古臭いような…そんな絶妙なバランスが楽しい。ちなみにには、シーン・リヴァート(Sean Levert)もコーラスで参加している。

上記の曲は全てジェラルド絡みなのだが、唯一フライトタイム主導の⑩「Good 'N' Plenty」も同じバランスが楽しめる。もう、「この曲ジャネット・ジャクソン(Janet Jackson)が歌ってそう!」と突っ込みを入れたくなってしまう。ジャム&ルイス(Jimmy Jam & Terry Lewis)一派のロー・キー?(Lo-Key?)から、ランス・アレキサンダー(Lance “L.A.” Alexander)トニー・トルバート(Tony “Prof-T” Tolbert)による楽曲だからこその、狙った音作りなのだろう。

-スロウはお墨付き-

スロウの出来栄えは、もうお約束(笑)。特に⑥「From Girl to Boy」は、SWV「Weak」にも通じる切ない系。オトコが女の子に対して、誠実でいなくて、利用するだけのような扱いをするとこうなる、という内容を、ホントは離れたくないのに、強い女を演じている女の子が歌っている。その詞がさらにこの曲の胸キュン度を上げている。筆者は、この曲が一番のお気に入りだ。

ルーファス(The Rufus)のカヴァの⑦「Tell Me Something Good」に続いての、切ない系の⑧「Call Me」もじっくりと。最後のコーラスの上に、叫びが乗ってくるところに、説得力を感じる。また、のスロウ版の⑬「Does It Get Any Better (Part 2) 」のアダルトな雰囲気…。ジャネットの「Any Time, Any Place」のR.ケリー(R.Kelly)ミックスまではいかないにしても、セクシーに生まれ変わっている。

-全員の力で-

とくに秀でたリードがいなかったことが、逆にこのグループの“みんなで歌うんだ”という力が見えたような気がする。セールス的には悪かったみたいだが、内容は充分。90年代のコーラスグループにありがちな、そんな1枚だと思う。

(2006.12.11)

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