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『The Foundation』(2007)2007
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Review

-2020年12月現在のAmazon価格:¥6,500-

現在も高値で推移する、いわゆるお宝盤。この類はどうしてもその価格とそれに見合った内容なのかと穿った見方をしてしまう…。筆者もまずはそこを基準に一通り聴いてみる。…ん…周囲が騒いでいるほどにないのかもしれない。最初に抱いたのはそんなものだった。歌い方、声に特徴はない。好みの問題になるのだが、どうしても多少の熱苦しさを求めてしまう自分を鑑みると…。そうであればジャケットと同様にぼやけた眠たそうな眼の通りの印象で終わってしまうのか…。

-重なる音楽層を辿るように-

2周目、3周目と重ねてアルバムを聴いていく。そうすると、そのような印象が徐々に薄れていくから面白い。なるほど、話題に上がる理由が分かってくる。やはりソウルは聴きこむと味が出るということを改めて認識させられた。

-ミディアム~スロウを中心に-

インディ発の2枚目ということも理由なのだろう。楽曲、アレンジを含めてほとんど1人で作り上げているといっても過言ではない。スロウを中心としたまとまりのある構成になっている。
 シングルとなっていた②「Nobody Knows」は、クラップと鍵盤を中心とした音づくりのミディアム・スロウ。ループする鍵盤の最後に高い音を切なげに入れるところが哀愁。それに控えめの声がのることで、さらに湿度をあげている。最後のファルセットをもうちょっと狂ったように聴きたかったのは個人差だろう。
 デヴァンテの声質にあっているのが⑤「Spend All Night」。熱くなりすぎず、淡々と歌っていく。また、ジョー(JOE)か?と思わせるギターを絡める⑦「A Woman's Love」や、⑧「Pick Up The Pieces」も同じナスティ路線。このどこか悲し気な、憂いのある雰囲気が彼の魅力である。ちなみにミディアムの⑪「Threshold」はギターのループなどジョーそのもの。歌い方は違うのだが、デヴァンテが意識していることは間違いないだろう。

-幅広く対応-

飛びぬけてコレ!という1曲はない。派手さもない。しかし、安定して1枚を長い時間楽しめる。21世紀にはふさわしくないかもしれないが、これからも聴けば聴くほど好きな作品になるだろう。

(2020.12.27)

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