1. 『Stoned』
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『Stoned』(2002)2002
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Review

-ルーサーの再来-

ルーサー(Luther Vandross)の曲である②「Super Star」を収録したのは、必然だろう。他の楽曲だったが、一聴いてルーサーそのもの!?と、最初に聴いた時はそう思ったものだ。それぐらい“ウタジカラ”を全編に感じることが出来る強力なヴォーカルアルバムだ。

-レジェンドたちへのリスペクト-

ほぼアカペラの①「Til You Come Back To Me」からスタートするのは完全にの原曲を活かすための送りバント。しかしそのは大きくアレンジされた。(原曲はストリングスが入ったコンテンポラリーなもの。レオン・ラッセル(Leon Russell)の真骨頂とでもいうか…。ってホントはカーペンターズ(Carpenters)が元祖なんですね。知らなかったです…。)リズムはミディアムながらグルーヴに乗せている。あのバラードがこうなるんだと。これには圧倒された。

もろマーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)「I Want You」的な音作りも魅力な④「She So Beautiful」からは、70年代の空気感が感じ取れる。女声のささやくコーラスにコーネルのシャウト&ファルセットが応えていく。まさしく声を楽しむ楽曲だ。

インタールードの⑥「Quality Time」とセットで聴きたい⑦「Stoned」はスネアが効いたミディアム。ここでメロディラインを歌っているのは女性コーラス。ここでのコーネルは語っているのだ。決してラップではない、バリトン・ヴォイスでの囁き。是非バリー・ホワイト(Barry White)と比較してもらいたい。

-より深い世界観のハイライト-

さてここからはさらに深くディープに。いままで配置されていたインタールードが無いのは、この5曲のスロウをひとくくりに聴かせたいという配慮だろう。最初の鍵盤の音だけで切ない展開を期待しまう⑨「The Whole Nine」。抑えながらもシャウトする声がさらに熱情を感じるところだ。⑩「Let Me」はナスティ系の音作りながらも力強い!ともすれば“暗い楽曲”とも言われかねないプロダクションと彼の声とのバランスが楽しめる。 ⑪「When You Need A Little Somethin'」は女性のバックコーラスと丁寧に歌い上げる。たまにフックとして聴こえるギターの音色がまた一興。

出色な⑫「Who Would Have Ever Thought」が個人的なハイライト!シャウトしたいところを抑えながら、コーラスと重ねていく抑えた歌い方のサビが心地よい。ブリッジ部分から入ってくる生ピアノの音にあわせるかのように、少しずつ声を上げていくところがツボ。本人はもっとシャウトしたかったんじゃないだろうか。

アコースティックな⑬「Lesson Learned」ではさらに抑え気味に歌いきっている。それが好印象を与えてくれた。

-ウタが上手いとは!?-

歌が上手いってどういうことなのだろう。ただ歌声をアピールするだけでなく、このように少し引いた位置からわざと歌っているコーネルは、本当の意味で“歌の巧いアーティスト”といえるのではないだろうか。

(2010.12.05)

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