-ケルズ氏とジョーによるスロウ-
R.ケリー(R.Kelly)によってデビューした女声デュオの3rd。現時点でこれが最新作っていうのが淋しい限り。だが、これを聴くとその淋しさも吹っ飛ぶ出来栄えにほくそ笑んでしまう。わざとらしいエロジャケも嬉しい(笑)。
今回もお得意のケルズ氏全面バックアップかと思いきや、かかわっているのは1曲のみ。意外ともいえるが、この辺が2人の成長の見所というものだ。そのR氏が手がける①「Visit Me」で幕開け。彼女達のウィスパーな歌声にフィットしたスロウなのだが、アイズレーマナーがしっくりときている。この辺は彼のお得意のパターンだ。やっぱり相性の良さを感じる。
続く②「That Other Woman」は、ジョー(Joe Thomas)のプロデュース。サビのメロディーラインなどのドラマティクな展開は、期待通り。これを少々リラックスしたムードに変えているのが⑮「That Other Woman」(Joe Remix)。これまたギターのリフが切なく、ジョーのロマンティック・サイドとでも言おうか、そんな優しいリミックスだ。
-サポートするプロデューサー陣-
さてお次の担当はブライアン・マイケル・コックス(Brian Micheal Cox)。共作にジョンティ・オースティン(Johnta Austin)、ケヴィン・ヒックス(Kevin Hicks)の名前も挙がる贅沢な作りだ。そんな③「Come Over」は、深夜に彼にあいに行きたいという女心。若干淋しげなトラックにしっとりとその詞が乗っていく。ちなみにブライアンは⑥「Last Night (feat. Lil' Mo)」も担当している。
ビートありきで制作されたような④「Ladies Man」はトロイ・ジョンソン(Troy Johnson)。80年代後半に活躍した彼が、新世紀にフィットした音感を展開してくれた。
攻撃モードの中盤を抜けると⑩「That Ain't Me」が待ち受ける。ほっと一息つける安らぎのスロウ。シンプルな音作りに、控えめに歌う二人の声が印象的だ。これはマリック・ペンデルトン(Malik Pendleton)の手によるものだ。その世界観を続く⑪「Out Of Sight」でも魅せてくれており、彼自身のハスキーな声を聴かせてくれる。決して歌い倒すカンジではないのだが、なかなか歌えるんだなぁという印象。この曲にはこれくらい控えめな声のほうが合う。
続く⑫「I Told You」でも男の声が。そうデイヴ・ホリスター(Dave Hollister)だ。これはどちらかというとデイヴの世界にチェンジング・フェイセス(Changing faces)が入っていった雰囲気。重たい空気(でもこういうのスキ)が漂っている。
それを払拭するかのように、さわやか系の2曲が続く。ライヴ・テイクの⑬「More Than A Friend」はドラマティックなバラード。ピアノの音がとにかく耳に残る。これを聴くと、R氏からの卒業を意識してのことかと考えさせられてしまった。つづく⑭「Don't Cry For Me」もメロディ重視のきれいなスロウ。この流れは筆者の大好物である。
-希有な存在-
アルバムの入りと終わりがしっかりした作品。2人の声はこれ以降聴けてない。女声デュオという稀有な存在なのだから、それを活かして…逆にそれがネックになってるのかな。とにかく新譜希望です!!
(2006.12.03)