-サラブレッド×クルーズ(Kreuz)-
良血の才女、セレーシャ(Celetia)の2nd。19歳の女の子らしさと、フル・クルー(Full Crew)の生み出す、背伸び感が同居する、興味深い作品に仕上がった。アップ/ミディアム/スロウのバランスが良くとれている。
話題はいくつものヴァージョンが生まれた⑨「Rewind」。その中でも、⑰のカットファザー&ジョー(Cutfather&Joe)によるリミックス(バックトラックには、シャラマー(Shalamar)の「A Night To Remember」をサンプリング!)は、全英チャートでもTOP30入りする人気を誇った。日本でもDJ HASEBEがリミックスを手がけ、クラブ・シーンでも人気の1曲だ。確かに楽曲が良い。ポップなのに、どこかカッチリまとまっているところが、なんともUK的。それをUSシーンをよく理解しているフル・クルーが作っているという、このバランス感覚がたまらない。
このほかにも、やっぱりファーストからのつながりがあるためか、フル・クルーによる楽曲が秀逸。⑤「This Is The Way」はあたたかいスロウ。いかにも日本人が好みそうな、メロディ重視の楽曲で、このトラックをベストとする人も多いようだ。それと同列に配置できる⑧「Whenever You're Lonely」は、憂いを伴った、少々ダウン・ロウ気味にボトムを下げたバラード。個人的にはこちらをベストに挙げたい。
-UK色も散りばめて-
タイトル曲④「Runaway Skies」や⑪「How Would U Feel」を手がけるのは、Big Life専属のクリエイターで、ダメージ(Damage)なども手がけるKOJO。穏やかな幸せ系の曲は、彼の得意のパターンとしているようだ。特に後者は、海沿いのドライヴで聴きたい楽曲である。
また、⑦「There I Go Again」は、ヴェロニカ(Veronica)などで仕事をしているD-Moetが手がけているのだが、トラックのつくり、そしてUK発という点から、シンプリーレッド(Simply Red)で活躍という枕詞も不要な活躍ぶりのGOTAが関わったのかと思ってしまった。それくらい彼の音もUKに浸透してるのではないだろうか。
ベイビーフェイス色を感じる③「Special」は、「あなたの愛が山なら登ってみせる…」という結婚式向けの1曲(実際ウチの姉が使ってた)。リミックスもあるが、アルバム・ヴァージョンのほうがオススメである。
-現在は裏方のよう-
決して歌い上げるタイプではないのだが、総合力で押してくる。当時で19歳だから、まだまだこの先の伸びしろに期待。と思っているのだが、表舞台にはあまり登場しなくなっている。成熟した自身のタイトルを期待したいものである。
(2006.03.20)