-貧弱なイメージだったグループ-
フォー・エグザンプル(Ⅳ Xample)のイメージとしては、「I'd Lather Be Alone」でみせてくれた丁寧な、お上品なコーラス・ワーク。ボーイズⅡメン(Boyz Ⅱ Men)のフォロワーといったところ。アルバムも良かったのだが、どうもお行儀が良すぎて、ポップすぎて、なんだか軽いと思うことも。そんなイメージから「元 Ⅳ Xample の…」と言われても、あまり期待していなかった(失礼)。が、しかし。ジャケットを見たときに、“これはひょっとするかも!?”と期待させられる濃い顔アップ。その予感は大正解となり、05年の屈指のアルバムとなった。
-濃密な世界観-
タイトルについて本人が語っているのは、
「オレはキャンディ屋の店主。いろんな愛のキャンディをみんなに届けるのさ」
というコンセプト。その通り、激甘キャンディが揃っている。
まずは①「Intro」~③「Suga Daddy」までの濃厚なスロウ。グループ時代の清潔な感じからは想像できない、ピロウ・スロウだ。そして、アイズレーズ(The Isley Brothers)の「Summer Breeze」をベースにした⑤「Where Is The Love」の出来はどうだ。70年代ソウルへの憧れをそのままに表現した曲となった。その流れで一気に突き進む。⑦「My Girl」のイントロは、角松敏生大先生がよく使う音色。哀愁が漂う出だしから、一気に深い世界へいざなう。⑬「Why-O-Why (sex mix)」は、もろにR.ケリー(R.Kelly)のダウン・ロウである。とにかく、ベット・サイドに似合いそうな曲がそろっている。
-グループ時代の面影も-
グループ時代を思い起こさせてくれるのは、④「Simplify」のミディアムと⑪「Oldfashioned Loveletter」、⑫「Your Alwayz With Me」のスロウ。④では中盤でラップまで披露し、成長振りをうかがわさせてくれる。⑪⑫の2曲はグループの1stに入っていても全く違和感がなかった(むしろそちらのほうが収まりが良い気もする)であろう、清涼感あふれる曲。優しさを全面にだした暖かな仕上がりとなった。
-自信作ということ-
フューチャリング・アーティストはスクリューフェイス(Screwface)のみ。そうなった背景には自身の言葉がある。
「自分のアルバムだから、BCだけを聴いて欲しい」
それだけの自信作なのであろう。
しかし、最近のインディ・シーンの情報の充実ぶりは素晴らしい。ネットの普及もあって、これほどまでに作品の流通が発展したことは本当にありがたい。IT業界の発展に感謝である。
(2006.01.14)