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『Director』(2006)2006
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Review

-全てをハフに任せるのではなく-

シカゴの冬は寒い…。ジャケから連想させられてしまう。では作品で暖めていただきましょう!

ロマンサー、アヴァーント(Avant)の4th。タイトルの由来については、

「今の世の中。いろんなことが起こってるけど、自分がディレクターとなって、人生をポジティヴな方向へ導いていかなければならないということを示したかった」(『bmr334号』)

と語っている。では今回はセルフプロデュースなのだろうか。そう思ったが、実際は逆。前3作までは、ほぼ全てをスティーヴ・ハフ(Steve Huff)がプロデュースしていたわけだが、この作品から外部プロデューサーを招いた。

もともと1st『My Thought』のころからスティーヴも「自分以外の人とも仕事をしてみたら?」と言っていたらしく、決して彼と決別したわけではない。その証拠に数曲はスティーヴとの共作が収録されている。⑧「Right Place Wrong Time」は地味ながら、しみこんでいくメロディだ。

-外部招へいしたプロデューサー陣-

その他のプロデューサー陣で、いちばんアヴァーントとリンクできたのはアンダードッグス(The Underdogs)だと思う。いいなっ!とすぐに思ったのは彼らの作品ばかりだった。まずは②「This Is Your Night」。このまったり、湿度たっぷりな世界。アヴァーントの爽やかな変態さ(もちろん誉め言葉です。)を良く理解してるなと。収録曲中出色な仕上がりだ。彼らはさらに、名曲に挙げる人が多い④「4 Minutes」も提供。中盤からの盛り上がり方がたまらない。ちょうど4分の曲に仕上げるところも面白い。とにかくこの2曲がこの作品のキモであるように感じる。⑭「Now You Got Someone」も、アヴァーントのために書きました、というような音作りだ。

話題をさらったのは、プッシーキャット・ドールズ(The Pussycat Dolls)と歌っていた⑤「Stickwitu (Urban Remix)」。大人の男アヴァントと彼女達の背伸び具合がしっかり溶け込んでいる。ミックスはR氏の右腕といえるピーター・モクラン(Peter Mokran)。彼はいつでもいい仕事をこなす匠である。

タイトル曲⑩「Director」は、アヴァーントとブライアン・マイケル・コックス(Bryan Michael Cox)の共同作業。丁寧なメロディラインに好感がもてる。

ジャーメイン・デュプリ(Jermaine Dupri)③「You Know What」でアヴァーントを次のステップに連れて行き、ロドニー・ジャーキンス(Rodney Jerkins)⑨「Grown Ass Man」⑬「Mr.Dream」でナスティな感じを演出しているが、双方とも個人的には良い曲なんだけど、そこまで…かな。

-チカラの証明-

世界観を変えずに、多くのプロデューサーを使う。意外とむずかしいことを、しっかり成し遂げてくれるアヴァーント。R氏と比較するだけではないことを、このアルバムで証明してくれたような気がする。

(2010.04.29)

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