-「Before You Walk Out Of My Life」といえば…-
アンドレア・マーティン(Andrea Martin)の名前を聞くと、まず思い出すのは、モニカ(Monica)「Before You Walk Out Of My Life」。この曲はマグレ等では絶対書けない名曲。おそらく後世に伝えられるであろうエヴァーグリーンな曲だ。その他のアーティストへ提供した楽曲を聴くと、どちらかというと“メロディー重視の”曲を書く人だと思っている。
-カットファザー&ジョーとの相性-
本デビュー作も、その作風が多くみられる。シングルだった①「Let Me Return The Favor」は、ロドニー・ジャーキンス(Rodney Jerkins)がプロデュースに関わったこともあり、話題性も含めてのシングル・カットだったのだろう。正直、その必要性を疑問視してしまう。それよりも、彼女の実力を発揮させているのは、④「Steppin' 」、⑤「Breaking Of My Heart」をプロデュースした、カットファザー&ジョー(Cutfather & Joe)のほうだろう。彼らはブラック系のみならず、エイス・オブ・ベース(Ace Of Base)やコアーズ(The Corrers)などの北欧勢も手がけているので、このようなポップよりの作品との相性はバッチリである。
-後半のミディアム~スロウ-
しかしながら、ハイライトと思えるのは後半の3曲、⑨「Hung Up」、⑩「How Could You Forget」、⑪「Dear Lord」だ。⑨では前出の「Before You…」を彷彿させてくれるミディアム、⑩はダウン・ロー・ビートで使われるキーボードの音を、ボトムを下げる要素としてではなく、あたたかさを強調させるために使われている。この2曲を手がけたのは、R.ケリー(R.Kelly)との仕事で名高いピーター・モクラン(Peter Mokran)だ。さすがにスロウを知り尽くした人物らしく、ポップになりがちな曲の流れに、うまくソウルをのせている。そして⑪はアンドレアとともに活動してきたアイヴァン・マティアス(Ivan Matias)の共同作業。解説書には“なぜこんな醜い男が私にあてがわれたのでしょう…というリリック”と書かれているが、実は愛した彼のことを信じたいという心情を歌ったものだと思う。ゴスペル・ライクなバラードである。
-裏方家業は続く…。-
しばらく音沙汰が無かった彼女だが、2005年後半あたりから、楽曲の提供などで、復活の兆しが。と、かなり期待していたのだが、2010年10月現在、ニューアルバムは届けられていない。
(2006.01.07/2010.10.04)