1. 『Ⅲ Frum Tha Soul』
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『Ⅲ Frum Tha Soul』(1999)1999
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Review

-本国では未発表-

1st『What Cha Missin’』でみせてくれたオージェイズ(The O’Jays)のカヴァなんて、もうエディ&ジェラルド・リヴァート(Eddie Levert.Sr & Gerald Levert)にそっくり。そんな声で歌い上げ、楽しませてくれた彼らの2ndが本作である。録音を1997年に終わらせていたらしいこの作品は、1999年に日本のみで発売。しかも、US本国での販売は無し、ときた。当時の男性グループの不遇を考えると仕方ないのかも知れない。それにしてももったいない話である。

-誰にでも提供できる楽曲ではなく-

その内容だが、1stで見せたニュー・ジャックなアップは影を潜め、ほとんどがミディアム~スロウ。この方向性には彼らの魅力がなにかということを物語っていることになるだろう。

その仕掛け人は、やはりジェラルド・リヴァート。よく、“ジェラルドのプロデュースする作品にハズレなし”と言われるが、その伝説はここでもしっかりと見て取れる。提供した4曲はほぼ完璧である。

特に一番の聴きドコロとなっている⑪「Denying My Love」 ~⑫「Break Me off A Piece」の存在感を堪能して欲しい。ジェラルド節全開である。これらの楽曲は、“しっかりとしたバリトン・ヴォイス”しかしっくりこない。誰にでも提供できる曲ではなく、彼らに提供すべく生まれたものなのだろう。ちなみにジェラルドが提供したのは、オープニングにふさわしい湿度高めのミディアム①「You Played Me」と、LSGとは同名異曲の⑦「My Body」である。

-ジェラルド以外のプロデューサー-

ジェラルド以外のプロデューサーでは、1stからの盟友アンジェロ・レイ(Angelo Ray)⑤「Treat You Right」を担当。彼らにしてはシャウト少な目のミディアムを提供しているのは、他のプロデューサーが熱いものをもってくると考えから、というのは深読みのしすぎだろうか。いずれにしても、清涼剤のような役割を担っている。また、SWVなどへの提供でおなじみハーブ・ミドルトン(Herb Middleton)が参加。特にジェラルドの名作2曲のあとへ続く⑬「This Ring」はお見事。ガイ(Guy)の「Let's Chill」のような歌いだしが美しい。キース・スウェット(Keith Sweat)③「Come On」で参加しているが、正直あまり好きになれなかった。キース先生には、ヌメヌメ・バラードを提供して欲しかったというのが本音である。

(2009.01.02)

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